5/9
~~坂本視点1~~
『おーい。リサ。布団で寝ないと風邪引くぞー!』
微動だにしないリサに布団をかけてやろうとして、
『ポルターガイストも起こせない低級霊でした。自分。』
僕は諦めて近くに腰をおろした。
リサはいい子だ。非常に。明るく前向きで、日々をしっかり生きている。
生前、この子に出会えてたら、僕にも違う人生があったのかもしれない。
などと僕らしくない考えが起きるほど、僕はこの子に惹かれている。
「まさか、真夏ちゃん並に僕の心を揺さぶる存在があるとはな。フッ。(キメ顔)」
このときリサの寝言が「キモッ」だったことを僕は忘れない。
死んでから今日まで、死んだことを悔やんだことなんてなかった。
それなのに、リサに布団をかけてやれないことが、なんだか無性に、歯痒かった。




