とりあえずぶっ飛ばした。
お気に入りありがとうございます
ゆったりと更新しますんで
今後ともよろしくお願いします。
えー現在。非常にむさ苦しいおにーさんとおっさん方に囲まれています。ハーレムとかは嬉しいけど、これはない。
「おい、坊主。覚悟は出来てるのだろうな?エルを返さないと貴様を拘束し、処刑するぞ」
覚悟も何もしてねぇよ。処刑ってな気が早いんじゃねぇのか?何となく流れはわかるんだがよ。
「おい。返事をしろ」
横でエルが震えているので、少し前に出てエルを隠す。
「うるせぇよハゲ。初対面の相手に名乗りもせず、威圧しまくるとか、礼儀も何もねぇな」
あ、なんかプルプルと震えてる。
「随分と余裕があるようだな」
「まぁな」
今の俺はチートの権化、負ける気はしねぇ。それに、なんとなく魔剣も持ってきたしな。どう考えても曰く付きだが。
「エル」
「はい……」
「隠れてないでこちらに来なさい」
「……はい」
前に出ようとするエルを手で制止する。
「なんのつもりだ?エルは我が村の巫女」
「るっせぇ。一々てめぇの話なんざ聞いてられっか。なんかちょっと嫌がってんじゃねぇかよ」
「貴様こそ口を出すな。我々には巫女であるエルの力が必要なのだ」
面倒だなコイツ……。そもそも何で理由も聞かず初っ端から喧嘩腰なんだよ。
「んで、エルを渡さないとどうするって?」
「先程も言ったろう。貴様を拘束すると」
「やってみな」
俺がそう言って笑った瞬間、目の前のハゲが思い切り殴り付けてきた。俺はそれを右手で掴み、その勢いを殺さずに後ろに放り投げた。ちょっとエルが危なかったので、空いている片手でエルの手を優しく引き、コマの様にクルリと回った。
「ガインの旦那が投げられた!?」
「お前らは来ねぇのか?っとエルは離れてろ」
「う、ん」
エルが離れたのを見て構える。
「俺は喧嘩ばっかしかしてねぇが、中々に集団と戦うセンスはあると思うぜ?」
「調子に乗るなよガキが」
後ろからガインの声が聞こえた。後ろを見るとガインが腕を振り下ろしている途中だった。だが残念だったなぁおい。
風景が、ガインが、静止した。俺は無防備になったガインの腹に数発の蹴りを入れた。勿論、軽くだが。
「ゴフッ!?」
凄まじい勢いでその巨躯は吹っ飛ばされた。やっぱやべぇな俺の力。そもそもあの一瞬で連続で蹴れるのがおかしい。七つのボールを集めて願いを叶える世界の住人になった気分だ。
後ろの馬鹿共は全員顔を真っ青にして突っ立っている。
エルは……馬鹿共以上に顔を真っ青にしていた。心なしか泣きそうなんだがどういうこっちゃ。
あ、立ち上がった。案外頑丈だな。
「ガインの旦那ぁ!!」
馬鹿共の一人が駆け寄る。
「血が!!こりゃマズいぞ!!」
「お父さん!」
「お父さん!?」
俺の驚愕は捨ておかれ、エルが走ってガインの元に行く。
「エル……」
「待ってて、今治すから!」
エルの手に淡い光が灯り、それをガインの腹に当てる。
「すげぇな……」
俺が蹴り付けた跡が綺麗に消えていき、ガインの顔色もみるみる良くなっていく。
「貴様、名前はなんと言うんだ?」
「俺は金屋仁だ」
「私はガイン。ガイン=ジェンだ」
リアルマジお父さんかよ。
「村で話をしたい。着いて来てくれ」
「あ、あぁ」
元からそのつもりではあるんだが、俺大丈夫かな??村でリンチとかない?
「クーリッヒの村にようこそ。ジン 。そしてすまなかった。娘のこととなると頭が回らなくなってしまってな」
「どうも。別にいッスよ。むしろ俺の作った怪我は大丈夫ッスか?ガイン村長」
まさかこのゴツいお父さんが村長とは思わなんだ。
「大丈夫だ」
「そッスか」
「さて、何から話をするべきか……」
「お父さん、私が話すよ」
「む、そうか」
「すんませんガイン村長」
手を上げて発言。小学校かな。
「なんだ?」
「エルって何の巫女?」
「「え?」」
え?何二人して変な反応して。そんな誰でも知ってる事なん??
「ジン、この村に封印されてる邪神のこと知らないの?」
知らんがな。来たばっかなんだしよ。
「知らん」
「嘘……」
「俺に世界の常識は通じない。だからその邪神について説明を求む」
「あの、まず大前提に各地に封印されてる邪神はわかるよね?」
「知らん」
二人が何故か驚愕している。そんなに珍しいのかよ。
「ジン、今までどんな生活してたの?邪神を知らないなんてありえないよ」
「俺はずっと一人だったよ。上辺だけの付き合いの人間はいたけど、俺はずっと一人だった。誰に頼るもなく生きてきた」
と言っておけばなんとかならんかな。本当は義妹がいるんだが、それは必要ないだろうし。あ、今度はすげぇ哀れむような視線が……ちょ、ちょい辛いこの視線。何か辛いよ。
「じゃあ、最初から説明するよ?」
「頼む」
「遥か昔、三千年前の話––––」
と、長々と語られたことを整理する。
三千年前、邪神と魔王と勇者をそれぞれ筆頭とした三大戦争が起こった。
邪神はアルガンドラの東の国、ユーラスに。魔王は西の国、ムヨルに。勇者、つまり人間の国は北の国フォルトに。南の国は中立国……というと聞こえは良いかもしれないが、実際のところはどの国からも邪魔とされた奴が辿り着く場所らしい。国名はダコルト。
それぞれの国はそれぞれの力を持って戦っていて、戦力は常に均衡を保っていた。が、ある時、邪神を魔王と勇者が協力して倒しに掛かったらしい。魔王と勇者が協力とか。
んで激戦の末に邪神を六つの村や国に封印した。その内の一つがクーリッヒというわけだな。
その後魔王と勇者は姿をくらまし、頭を失った魔王軍は次代の魔王を決めるため、また、人間達も次代の勇者を決めるため、一つの協定を作った。両方の国が代表を得たら、戦争を再開すると。それまではどちらの陣営も協力はしても、戦争は絶対に起こさない。ということになった。
ようするに強い奴いねぇと喧嘩できねぇから、強い奴が仲間になるまでしねぇよってこったな。
んでようやく村の説明。
村の東に大きな神殿があるそうで、そこに邪神の武器の一つと右腕が封印されているらしい。
んでエルはそこの巫女をやっているという。
巫女かぁ金髪の巫女ってどうなんだ?俺的に巫女違いで神子ってやった方が良いんじゃないかと思うんだが。話を戻すとしよう。
エルの家系は邪神を封じておく為の力があるらしく、約千五百年の間その力を絶やさずに生きているらしい。
その力はエルが村にいることで発動しているらしく、エルが長いこと村から出ていると邪神のいる神殿から出ている瘴気が発生し、周囲に様々な影響をもたらす。魔物が凶暴化したり、植物が肉植物に変化することもある。だからガイン村長はあんなに怒っていたらしい。
「お前も大変なんだなぁエル」
「はい……。ところでジンさんはジンさんで何をしていたんですか?」
神に頼まれたから異世界来たとか……言えねえよなぁ。
「あー散歩だよ散歩」
「散歩⁈なんであんなところで」
「別に良いだろ。その散歩のお陰で助かったんだから」
「それは感謝してますが」
「つーかさぁ。邪神の腕だけでも破壊とかできねぇの?」
「そ、そんなことできるわけないですよ!な、名に言ってるんですか」
「できたらお前も自由になれるだろ」
「そう……ですね」
「そう諦めきったような顔すんなよ」
そういやおっさん三人殺して犬っころ……そういや一匹殺してないな。まぁ犬一匹じゃなんもならんだろ。んでガイン村長もぶっ飛ばしたわけだし、レベルも上がってんじゃね?
ステータス、ステータス……
金屋仁
16歳
Lv8
攻撃力74
防御力66
魔力116
魔防御力66
スキル
鑑定 詠唱破棄 経験値三倍 ステータス三倍 索敵範囲拡大 耐寒二倍 耐熱二倍 心眼 金運上昇 アイテムボックス
ジョブ 神の使い
お〜なんか増えてるよ。ステータスは言わずもがな、ジョブってなんぞ?神の使い?
確認したいところだが……鑑定とか出来ないのかね。あ、できた。何々?
神の使い
神と連絡が出来る。
くだらねぇー。
『くだらないとはなんだ』
うお!?いきなりなんだよ!
『我と話が出来ること自体凄いことなのだぞ?』
知らねぇよんなこと。
「あのぅ、ジンさぁん」
「ん?なんだ?」
今忙しいからちょっと待ってろ。
『な、おい、ちょっーー』
「お父さんが道場に来てくれって」
おう?道場だと?なんかまた面倒なことになる気がするのは気のせいかね……。
読んでくれてありがとうございます