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序&第一話 屈辱的な敗北?とライバル?

IDのプロジェクトとは何の関係もない、中の人のラジコンの経験を元に架空のお話を書きました。詳しい人や小説家な方、どんどんツッコンでくださいw

小さな頃から聴いてきた、丘の上からの甲高い蝉のような音。今までは気にも留めなかった。

自転車通学の途中でも、町に出かける時も聴こえてきたあの音。

その音は私の知らなかった激しい戦いが奏でるBGM。

そしてその出会いが私の運命を小さくても変える存在になるとは思ってもみなかった。



1話 屈辱的な敗北?とライバル?


どうせ架空の話だし、ちゃんと自分を紹介しなくちゃね。

私は瀬戸華(せとか) 優幸(すぐさ)。私立女子中学校の3年生。来年はこのままエレベータ女子高生。

両親の実家はどこぞの財閥だかコングロマロリットの会長の子供だったとか。

元々は睨み合っていた両家がリアルロミオとジュリエットな駆け落ちをして勘当されたら、

世の中の超不景気のおかげで両家ある程度歩み寄って実家に顔を出せる始末。

とはいえ両親ともにちゃんと共働きの少ないお金を稼いで暮らしている。

クラスの皆からはお嬢様と認識されてるけど、私にとってはどうでもいい。

確かに自称才色兼備で御淑やかな深窓の令嬢気取りはしても、

与えられた部分で鼻に付くような真似はしたくない。冷静に自惚れてはいるけど。

実際に買い物を頼まれるとスーパーでちゃんと安売りセールを狙ったりしているしね。

家柄容姿能力はどうあれ庶民的一般市民だと意識している。

身長155cmくらいで体型とか3サイズや体重は訊くものでも答えるものでもないけど適度にいいかな。

モデル体型?運動体型?それなりに綺麗な女性のラインと胸と信じてます。

少し癖があるロングの黒髪で顔は黄金比or白銀比の卵型な日本人的美人。大和撫子でしょ?ね?

メガネは要らないけど八重歯で左の涙黒子がチャームポイント。

勉強の成績は上の中で運動もまぁまぁ、よく委員長や生徒会にって皆に言われるけどそこはお断り。

放課後は大人しく図書委員をして、暇なときに本を読んでる感じ。

両親は多少家柄を気にして上級の学校とか少し考えていたみたいだけれど、そこではきっと落ち零れ。

それに今の稼ぎじゃきっと学費は払えないだろうし。

そうそう趣味はコスプレチックなデザインの服を自分で裁縫して、それを着てウィンドウショッピング。

お小遣いは多くないけど、上手に遣り繰りして何着かお気に入りを創ってます。

背景的には勝ち組かもしれないけど、人生それだけじゃないものね。

そんな毎日がちょっと退屈な日々平凡の私。

でも…あの時から少しずつ私の運命は変わっていったのかもしれない…。


中学3年のまだ肌寒い日が偶にある春、友達の一部は別の高校、特に共学の受験を考えてたりしてたみたい。

多分異性が気になるお年頃が理由の一つだろうし、私もそれは例外じゃない。

当然誰もが恋愛に興味を持っている。いえ異性というよりも恋に、かもしれない。

でも家の事情を考えるとそのまま上階段かな、平凡にそれでいいかなと思っていた。

男の子なんてどうせネットや大学や社会で会うんだろうし。

この間だってTwitterでとあるフォロワーに私が女子中学生って見破られて、

ストーキングまがいのDMを何通も受け取っている。下らない。

でもこの頃に初恋をしないのは女の子として一寸寂しいし、綺麗になれないもん。

少しは火遊びはしたいお年頃。そんなことを考えていた。


朝礼が終わり一時間目の数学の授業が始まる。

数学は吉田 浩先生。お兄さんというよりオジサンな年齢。

でも禿げてなかったり白髪もなく一寸若さを感じる。

授業は皆が分かるように色々な視点で説明したり、逆に考えさせたり。

皆数学は嫌いだけれど、愉しいとは思ってたみたい。偶に皮肉も言うしね。

教師よりまっどな博士とかのほうが良かったんじゃないかな?って思うようなユーモアな人。

ただ悪い癖があって、定番の教科書からの宿題は勿論出すとして更に自前で一問追加する。

それはやる義務はないし、当然一部の人には不満なので解答しない。

持論は勉強は役に立たせる為の道具(ツールorモノ)で、役に立たないと思っている限り役に立たない。

私は暇潰しとその内容の面白さで自主的にやっている。そう、物好きだけが解いていた。

そしてそろそろ出題の時間らしい。

「おっと、じゃ今日の宿題はP13の問1~3まで。今日の授業を聞いてりゃちゃんと解けるからやっとけよー。それと恒例の出題だ。今回は…。」

そういうと吉田先生は黒板に一つの円を描く。

「この円の中心点を直角三角定規か直線定規をどっちか2個以下使って求めてみ。」

そう言うとクラスはざわめきだす。えー、解んないよーとか周囲で色々話し始める。

「今日の授業はここまで。後の余り時間はこの解答でも考えてろー。」

そんな多少ざわざわしたした中、教室の後ろの扉が突然ガララと開く。女生徒が一人入ってくる。

ストレートロングな黒茶髪、ダルそうな寝ぼけたような表情、校則違反並なロングスカート。

背は高く私より遥かに女性らしい。なのに纏う雰囲気?オーラは反抗的というか疎外感というか

近寄りがたい、怖い、に今日は疲れてますがプラスされてるという感じ。

器量は良いしちゃんと身嗜みを整えてシャキッとすれば素敵なのになとかいつも思っていた。

吉田先生はそちらを向く。

「美波、昨日に続き今日も遅刻か?一限目終わるぞ?」

彼女の名前は美波(みなみ) 遥香(はるか)。上記の通り一見不良にも見えるし一匹狼のような感じだ。

でも休み時間は静かに読書をしていたりする。

不良みたいだけど変に本虫で、本の表紙が機械設計ユカイスギーとか初めての電子工作タノシイダヨーとか。クラスの皆もなんで態々この学校に?と思っている人もいるようで一寸浮いた存在。

「スイマセンネー、昨日は父ちゃんの仕事の納期直前だったんで徹夜でCAD入力手伝ってたんスよー。」

ため口で反省の色もない。でも徹夜だったのは本当だろう。

「全く…あ、そうだ。だったら偶にはお仕置き兼ねてこの問題を解いてみろ。」

半分寝ぼけ眼の彼女は黒板を一眼し吉田先生を見る。

「えー、まだ頭働いていないのにいきなりですかぁ?」

「お前、宿題はしない癖に俺の出題だけはちゃんと解いてくるじゃないか。偶には皆の前で解いて見せろ。」

私の知る限り、彼女の成績は中の中くらい。というより真面目に授業を聞いているのやら。寝ている方が多い気がする。

「わかりましたよ。んー。」

鞄を置いて、面倒くさそうに黒板に向かい2~3秒唸る。

私はこの問題を次のように解いた。


円に2本の線を交差するように接線を引く。

そして円と2つの接線点から直角に円の中心方向に線をそれぞれ2本引く。

その交わる点が円の中心。

これなら2つの直角三角定規だけで中心が求められる。


美波は黒板の前に立つと徐に1つだけ直角三角定規を手に取る。

そして円の内側に直角が孤に当たるよう三角定規を当て、円内に直角三角形を描く。

更に別の位置に直角を孤にあて、別の直角三角形を描く。

2つの直角三角形の底辺が一点で交わる。

その点を彼女はチョークでダンとたたき

「ここが中心です。」


「え!!」

私は反射的に立ち上がり声を上げていた。

吉田先生は私をちらっと見、ニヤリとして美波に声をかける。

「ほう、そうきたか。正解だ。だが証明もしてほしいな。」

「今の手順で証明は要らないんじゃないスか?」

私は小さく震えていた。自分の解答に自信はあった。

でも私は敗北していた。彼女は道具1つ、私は道具2つ…。

シンプルで手早くしかも完全に理解できる…。

吉田先生はこっちを見て、

「瀬戸華。お前も解いたみたいだからやって見みろ。」

私は手が覚束ない状態で自分の方法を黒板に描く。

「瀬戸華も正解だ。ちゃんと勉強している証拠だな。」

と言ってくれた。しかし私は悔しかった。冷静に自惚れていたから自信もあった。

大粒の涙を一滴溢し、チョークを床に叩き付けて席に戻った。

その瞬間一時間目終了のチャイムが鳴る。

クラス皆は騒めき、美波は何だ?どうしたんだ?と不思議そうな顔をしていた。

「美波~、ちゃんと宿題やって来いよ。じゃここまで。」

クラス委員長が終了のあいさつをする。

「起立、礼。」

私は机へうつぶせになり、腕で顔を隠し顔を真っ赤にして声を殺して涙を落としていた。

その休み時間、クラスの皆は美波と私の噂をしていた。大体が美波さん凄いねとか私の態度への陰口等。

でもそんな事はどうでもよく、私は初めての敗北感に打ちのめされていた。

別に美波を見下したつもりは一度も無く、何に対して負けたのかはっきりは判らない。

ただただ悔しかった。

机に伏せて泣いている私に美波、いえもう遥香と呼ぼう、が声をかけてきた。

「あー、んー。何で泣いてるのか解らないけど、お嬢様の高いプライドを傷つけちゃったみたいね。

悪気は無かったんだ。ごめん。」

彼女は素直に済まなそうに謝る。クラスの周囲は不良っぽく見える彼女の姿勢に少し驚いていたようだ。

私は顔を上げ、彼女を少しだけ睨みながら

「別に謝ることなんてないわ!美波さんが悪い訳じゃない!私が勝手に敗けたと思って悔しいだけ!気分が悪くなったので保健室に行かせてもらいます!」

私はそう言い、教室を出ていった。

残された遥香は唖然としていたと思う。これでクラスからの私の印象はがた落ちだろう。

そんな事も気にせず、保健室へ走って行った。

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