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プロローグ
トロッと流れる血。
ああ、おいしそう。
胸の奥が、うずうずする。なんともいえない、喉の渇き。鼻につく、いい匂い。
気を抜けば、すぐに飛び掛ってしまいそうだ。
第一、犬歯が牙に変わってしまいそうなのを、耐えることがやっとだ。
少しくらい、いいかもしれない。
「大丈夫ですか?」
なんて声をかけながら、どさくさにまぎれて。
しかし、周りを歩いている人に見つかったら、一連の終わりだ。
人間なんて、簡単に死んでしまうけど。人間に勝てないわけではない。しかし、むやみに殺しをするのは、抵抗がある。
だけど、この匂い、『純血』ではない。
最初の人類、つまり、イヴから受け継いだ、混じり気のない血。
やはり、今欲しいのは、純血だ。