ブレノ博士の政治学講座ーその3
ガムザ司教がお亡くなりになって以来、何やら物騒になりましたな。貴族間の抗争は未だ表面化そこしておりませんが、すでに使用人の殺害事件等も起きているようですし、いやはや何とも……、おっと、つい余計なことを……。
では、気を取り直しまして、今日は貴族と財政のお話でしたな。
貴族をどのように定義するかは国により様々ですが、帝国では少々変わった制度で成り立っております。セイディエス帝国は多民族国家ゆえ、基本的に身分などというものは存在しえないのです。つまり、平民であれ貴族であれ持っている権利に違いはないわけです。そのため、その気になりさえすれば平民でも貴族になることが出来るわけです。では、皇族や貴族というのは何かと申しますと、「国土と国民の管理者」というのがもっとも簡単な説明になりましょうか。皇族は国全体に、そして貴族はそれぞれの管轄において責任を負っていることになります。
貴族の仕事は各々の管轄における住民の統治と税金の徴収が中心です。帝国は長年多くの国を吸収して拡大して参りましたので、かつての王などが貴族として組み込まれる場合がほとんどです。貴族の身分は領土とセットですので、基本的に新しい領土が生まれない限り国内の貴族の数は変わりません。正規軍の者はみな最下位の騎士階級にあたり土地は持ちません。以下は世襲が認められており、男爵(農村担当)、子爵(地方都市担当)、伯爵(地方担当)、辺境伯(国境担当)、侯爵(州担当)、大公(州担当、皇族)と階級が上がっていきます。帝国軍の将軍は各州の統治をまかされていますので、必然的に大公か侯爵の身分である必要があるわけです。そう言う意味では確かに身分の差というものは存在することになりますな。今のシステムで平民が将軍になるのはほぼ不可能と思ってよいでしょう。だたし、宰相や大臣、警邏、親衛隊はその限りではありません。こちらは能力次第と言ったところでしょうか。
では続いて財政のお話ですが、税金の徴収は各貴族が行うということはすでに申しました。全体の財政方針、用途などは大蔵大臣が責任者となります。そして、実際の管理はおおむね将軍に委ねられます。例えばガルディア州であれば帝国軍第一軍の管轄ですので、そこで集められた税金はアベル・ガルダン将軍が運用することになります。ただし、何にどれだけ使うか、と言ったことは六将会等で綿密に話し合いを行いますので勝手はできないわけです。
現在のところ財政は非常に良好ですな。貿易を中心にいずれの産業も他国に勝る水準を維持しておりますし、ファビオ様は非常に倹約家ですから。財政は盤石と言ってよいでしょう。
では、今日はこの辺りにしておきましょう。次回は産業のお話をいたそうと思います。