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転送テン生  作者: ツルギ
第一章 決別と出会い
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黄昏と泡沫

  裕二はまるで生まれ変わる前の勇者のような気分で街を探索していた。


  ドット世界な訳では無いものの、自分好みの世界観で、全体を見渡すだけでも興奮が止まらない。


『ドンッ!!』


  誰かとぶつかってしまった。

 裕二は相手を心配したが、特に怪我はなさそうでホッとした。


 すると相手は言った。


「_君、仲間は居るか?」


  離れていたのでほんの少ししか聞こえなかった裕二は、「すみません。よく聞こえませんでした。もう一度言って頂けますか?」と言った。


「_君、仲間は居るか??」


  ようやく聞こえた。

 裕二は今、仲間は居ない。

 というか、何故仲間の事について話しているのか裕二は分からなかった。


「何故仲間がいる事を聞くのですか?」


 とりあえず聞いてみた。


  するとその人は裕二の方に顔を向けて、少しイラついた口調で言った。


「お前の服装が勇者に見えたからだよ。」


  そういう事か!裕二はやっと理解した。

 相手は呆れていた。

 そして裕二は「仲間は居ない」と答えた。


  「なら、僕についてこい。パーティーに加入させてやる。」


  裕二は言われた通り、その男に着いてきた。

 すると、目の前に古びた木の家が見えた。


  「ここは僕達の住む家だ。住む家がなさそうだったから、ここに連れてきたという意味もあるが、パーティーの人数は4人と申し分ないが、個性がバラバラでな。真面目な奴が欲しかったんだ。」


 真面目認定されたことを誇らしく思った裕二は早速、家に入ってみた。


  入ってみると中は外見より広く、

 2回まであり、色んな部屋が用意されていた。


  「お前の部屋は…奥の部屋だ。」


  どんな部屋か気になり、思いっきり開けてみると、なんとそこには古のゲーム機から最新のゲーム機があり、その隣にはRPGゲームがズラリ!

 興奮が止まらない裕二に男は「フッ」と微笑んだ。


  「暫くゲームを楽しんでいてくれ。僕はお前が来た事をパーティーメンバーに知らせてくる。」


  そう言ってそっと裕二の部屋を出た。

 裕二は男の姿に謎の懐かしさを覚えたが、会ったことなんてないから、RPGゲームをやることにした。


  そして男はパーティーメンバー4人に新しい者が加入する事を皆に知らせた。すると、一人の白髪のパーティーメンバーが裕二の部屋へ入った。


  「初めまして!私はヒーラーのランディア!君の名前は?」


  陽気な声が全身に響く。

 でもこういう声は嫌いじゃないみたい。


  「笹垣裕二です。よろしく。」


  少々面倒くさそうに自己紹介。何を使って戦うかは今のところわからないので伏せた。


  「ここら辺では聞いたことない名前だね〜

 お、ゲーム好きなの?」


  結構近くまで近づいてきた。


  「そ、そうだよ。」


  急に近づいてきたので緊張気味に言ってしまった。


  「実は、私もなんだ〜!

 あの人が作ったゲームでよく遊んでて、最初は使い方がよくわかんなかったんだけど、慣れていく内に楽しくなってきたの!」


  同じゲーム好きなことに、裕二は少し親近感を持った。


  「後で私もゲームしよっと!んじゃ、夕ご飯の時にまた話そ〜!」


  裕二は頷いただけで少し恥ずかしそうにしていたのか、声は出なかった。


  ランディアは名前から分かる通り女性で、陽気で可愛げのある人。服の模様は独特且つポップな感じで、フリフリのスカートを着ている。裕二が恥ずかしがるのも無理はない。


  続いて2人目が入ってきた


  「へぇ〜ゲーム好きなのかぁ。

 なんかすげぇ似合ってる。」


  ちょっとヘラヘラしてる男性が入ってきた。


  「自己紹介しなきゃな。俺の名前はマータ!

 ピエロっつう特殊な攻撃方法するんで、把握よろー!」


  苦手だ。すんごい苦手なタイプだ。

 そう思って裕二は何も喋らないことにした。


  「な〜んだ、素っ気ねぇな〜。ま、いずれ仲良くなんだろ!とりまよろしく〜」


  生意気なあの顔を殴りたくなったがやめた。

 このパーティーに入らせてもらったんだ。失礼なことをしてたら退場されかねん。


  そして3人目がやってきた。


  「初めまして、私の名前は八田美月。

 マジックを使う攻撃が出来る…魔術師とか奇術師とかそういうプロの技は出来ないけど、

 マジックを利用して相手を倒せる。そんな感じだよ。」


  お淑やか系の女性が出てきた。

 優しくて穏やかで、なんだかお母さんのよう。


  「自分の名前は笹垣裕二です。よろしく。」

  「笹垣裕二君、いい名前だね。

 その名前を付けた人はきっと…とてもいい人なんだろうね。」


  裕二は何度も深く頷いた。

 そして暫く話し、美月は自分の部屋へと戻っていった。


  あと一人か、一体どんな人なんだろう。

 ワクワクした気持ちを抑えながら、RPGゲームを進める裕二。


  そして4人目が来た。


  「どうも、笹垣裕二君…だったよね?僕の名前はルーレイ、弓矢使いさ。よろしく!」


  気さくに話しかけてくれた。

 なんだかとても話しやすそうだ。


  「ゲーム、好きなのかい?

 僕も好きだよ!」


  ランディアと同じくゲームが好きな人が居たことに裕二は驚いた。


  「あ、もしかしてそこ…行き詰まってる?

 それなら、



 はい!オススメの編成!

 これを使えば行き詰まったところも余裕で突破できると思うよ!」


  _なんて親切な人なんだ!!

 裕二は感動した。マータとは大違いだった。


  「それじゃ、僕は自分の部屋でやることがあるから!夕ご飯の時に会おうね!」


  大きく手を振った裕二。

 別れを惜しむというちょっと見てる側にとっては大袈裟なリアクションをとった。

 でもこれは裕二の本心であり、本音である。


 続く

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