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転送テン生  作者: ツルギ
第一章 決別と出会い
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Real Phenomenon Game(RPG)

所々おかしな点や矛盾点、気になる点などがあると思いますので、コメント等で指摘してくれますと助かります。

『バァンッ!!』

家全体に響き渡るのはゲーム用の机をバキバキに割りそうな程大きい台パンの音。

日差しが辺りを鋭く強く照らす炎天下でずっと鳴いているのはクマゼミの声。

『くそっ、また今日もビクロイ出来んかった!

一部の奴は俺ばっか狙うし、建築するの早すぎるやつ多いし!

あぁもうやってらんねー!フォトナ嫌い!!

4ねっっ!!』

それもそのはず。このイライラしている少年、

笹垣裕二(18 無職)はドット系のゲームしかやった事がなく、

シューティングゲーム、バトルロイヤルゲームは大の苦手。

でも4ね4ねいいながらも実は何度もやっている。

オープンワールドのゲームはたまにやるが、

本人曰く、

そういう系統でよくある日課やミッションをすぐ終わらせ、

それ以外にやりたい事が無くなり飽きるらしい。

ドット系のゲームが何故好きなのか、

それは雰囲気が良く、良作なゲームが多く、

やり込み要素も多いからだそうだ。

こだわりが凄すぎである。


おっと、さっきの台パンを聞いたお母さんらしき人が足音を怪獣みたいにドスドスと立てながら近づいてくる…

どれ程叱られるのか、しかと見届けよ!!

なんつって(´>∀<`)ゝ


「こら裕二!!

あんたまた台パンしたでしょ!

今日これで35回目よ!?

しかもその度にデカい音出して!!

その悔しさと怒りの籠った台パンは作業中のお母さんの所まで響くのよ!?

ゲームやるんだったらあんたの好きなドットRPGやんなさい!

フォトナとかは苦手だって言ってたじゃない!

なら無理にやる必要ないのよ!」


怒鳴っていた事には変わりはなかったが、

思いやりの気持ちがあり、語り手の私は感動した。

本人も母親の言葉を聞いてドットRPGのゲームをし始めた。


「はぁ…やっぱドット系のゲームは最高だなぁ…」

先程とは裏腹に、肩の力を抜き、穏やかになった。

やっぱ好きな事をやると人って変わるんすね。

…え?私はどうかって?それは…秘密です♪

と、ふざけるのはこれぐらいにして…


裕二はしばらくドットRPGに夢中になっていた。

何時間もゲームの液晶画面を見続けて…

母親は流石にストップをかけた。

これ以上やると目が悪くなるからだ。

すると裕二はすぐにゲームをやめた。


「…偉いわねっ。すぐに辞めれて。」

優しい声でそう言い、母親は裕二をぎゅっと抱き締めた。

その温もりは裕二に届き、裕二は必死に堪えながらも涙を流していた。


その日の晩、裕二は少しドットRPGをやって眠りについた。

その時の夢はやけに長かった。

不思議な夢だった…

神秘的な服装した母親が厳かな表情で、

「裕二…目を覚ましてはダメよ。

貴方に纏わせた霧が、晴れてしまうから。」

どういう事か分からなかったが、母親の言う通り目を瞑ったままでいた。

だが、誰かが…

「この者の話なんぞ信じるな。

目を開け。

その霧を払い、死を見届けよ。」

と言った。


裕二にとっては母親の言ったことよりもっと意味不明だった。

死とかなんとか、そういうのは裕二には分からなかったから。

でも、目を見開いた世界がどんななのか気になった裕二は目を開けた。


すると、ナイフを持った誰かが自分を刺そうとしている光景が広がった。

辺りは少し光が差し込んでいるくらいで、

相手の顔はフードを被っているからか、見えない。

裕二はその場から逃げようと思った。

だが、何処かに縛り付けてあるのか…

身体が動かない。

そして、その瞬間は急に起きた。

心臓を刺され、縛り付けられていた所は一瞬にして血まみれに…

自分は死ぬのかと、痛みを感じつつ、薄れゆく意識の中で裕二は悟った。


そして、また目を閉じる。

しばらくすると、誰かの声が聞こえた。

大人の人の声だ。

人数は3、4人くらいだ。

内容は『勇者様が目を覚まさない…どうしたらいいだろう…』というものだった。

勇者?誰のことだろう…

裕二は今の状況を理解する為に目を開けようとしたが、

どうやら今は何処かに怪我をしているようで、

目を開けようにもその傷の痛みが再び目を瞑らせる。

ようやく目が開いた!と思い安心した裕二だったが、さっき見た状況とは違うことに気づく。


「自分は確か、家に居て…誰かにナイフで刺されたと思うんだけど…」

戸惑いを隠せない裕二。

そしてさっき話してた人達が裕二の方に顔を向けた。

その人達は医者の様な服装をしていた。

病院に搬送されたのか?訳が分からなくなった。

すると医者達は急に喜んだ。

もっと意味がわからなくなり混乱した。


「勇者様が御目覚めになったぞー!」

「やったわ!これで私達は救われる!」

「あの時の平和が取り戻せるぞ〜!」


場が活気に満ち溢れ、和気藹々とした雰囲気に変わった。

そこで裕二は疑いながらも確信した。

自分は今、勇者だということを。

だとすると何故、殺された後に勇者になったのか…

裕二は考えた。

そして裕二は咄嗟に理解した。

自分は生まれ変わったのだと。

傷を負って倒れてしまった前の勇者に…


では外の様子はどうか?

知りたい好奇心が傷なんて気にせず自分の体を前へ前へと進ませる。

医者は心配したものの、傷なんてもう治ったも同然!

胸を高鳴らせ扉を開けると、そこに広がるのは古めかしいが洒落ている洋風の建物と、緑豊かな森林や草原!

そして心地よい日差しと風が体を包み込んだ。

そう、裕二が生まれ変わった世界は…

RPGの様な世界だった!

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