高杉君は研究に没頭する。
家に戻った僕は、ひたすら考える。
ゴブリンのケツバット…じゃなくて、ケツこん棒から、どうやって僕の大切なお尻を守るかだ。
なかなか良いアイデアが浮かばない。
僕の家族は、旅行中だ。
旅行は、お金と時間があれば行ける。
しかし、探索者の方は期限がある。
来年、中森さんの兄であるあのゴリラが、高校を卒業するタイミングで、中森さんを僕のパーティーに誘わないといけない。
だから、夏の家族旅行は断わった。
なかなか良いアイデアが浮かばない僕は、気分転換を兼ねて、ホームセンターに行ってみる事にする。
何か?開発のヒントになる物があるかも知れないからだ。
ホームセンターに着いた僕は、店内をうろうろする。
すると…ある物が僕の目に留まる。
簾と言ったか?
細い竹が何本も紐で結ばれてて、確か…窓の外に立て掛けると、部屋が日陰になって涼しくやつだ。
僕は、これを見てピンときたね!
これだと!
これをお尻が隠れるくらい短くして、腰に巻ける様にベルトを付ける。
こん棒の衝撃から、大切なお尻を守る為に、衝撃を吸収するクッション製の素材で作る。
そして、その素材はなるべく軽い物を選ぶ。
ふふふ。
天才的なアイデアが閃いたぞ!
僕は何種類かの素材を購入して、ウキウキ気分で自宅に戻った。
家族は旅行に行って不在だ。
バレる事なく、開発に集中できる。
神は僕に味方した!
それから僕は、お尻にフィットする様に形を整えたり、どの素材が衝撃を吸収するか?実験した。
小学生の時に使っていた、野球のバットで叩き、改良を重ねて、遂に完成させた!
やったぞ!
これで、ゴブリンに復讐できる。
僕は、お尻の怨みだけは、決して忘れない男だからな!
僕は工藤に電話する。
「おい工藤。明日ダンジョンで、ゴブリン狩りに行こう!」
すると工藤は「俺は、いま家族旅行中で、明日帰ってくるから、明後日なら良いぞ」と言った。
仕方ない。
僕は明後日、工藤を連れてゴブリン狩りをする事にした。
ゴブリンよ!
命拾いしたな!
でも、1日だけだけどな!
僕は工藤とダンジョンにやって来た。
更衣室で装備を整え、最後に僕が作った新兵器をバッグから出す。
お尻を守る様に後ろに回し、ベルトで腰に固定する。
すると工藤が「高杉。それは何だ?」と聞いてくる。
工藤君!良い質問だ!!
僕は答える「これは僕が研究と実験をして開発した、その名もお尻守る君1号だ!」
「お~凄いな!」と工藤が言う。
良いぞ!もっと僕を誉めろ!
僕は、誉められて伸びるタイプだからな。
僕がそう思っていると、工藤が「じゃあ、お尻守る君2号もあるのか?」と聞いてくる。
…そんな物がある訳無いだろう!
バカじゃないのか?
その後、僕達はゴブリン狩りをする為、ダンジョン入口に向かって歩き始めた。




