高杉君VSゴブリン②
ゴブリンめ!絶対に許さない!
やはり、狭い場所だと不利だ。
僕は、出入口に戻る選択をする。
あの場所が、今まで歩いた中では一番広い場所だからだ。
僕が先頭を歩いていると、頭に何かが当たる。
何だ?僕が下を見ると、毬栗だった。
栗の中身を抜き取った後の、あの遂げ遂げのやつだ。
僕の頭には、プラスチックのヘルメットを被っている。
だから、僕はノーダメージだ。
次に僕は上を見る。
すると、1匹のゴブリンが木の上に登っていた。
そのゴブリンが、僕に向かって毬栗を落としたのだ。
ふふふ。
馬鹿なゴブリンだ。
逃げ道が無いじゃないか。
お尻の怨みを晴らしてやるよ!
僕は斧で木を切りつける。
木を切るのは、斧の得意分野だ。
遂に、斧使いの本領を発揮する時がきた!
僕が夢中になって、木を切っていると、お尻に激痛が走った。
「痛い!」どうやら、僕が木を切るのに夢中になっている間に、仲間のゴブリンが、僕の後に回り込んで、僕のお尻にこん棒をヒットさせたみいだ。
くそー!お尻が痛いではないか!!
工藤は、何をやってるんだ?
僕は工藤を探す。
すると、離れた場所で、ぼ~っと突っ立っていた。
僕は工藤を問い詰める。
「何故?警戒もせず、僕から離れたんだ!」
すると工藤は「木が倒れてきたら危ないから、離れた場所で、高杉が木を切るのを眺めていた」と言った。
…いちいち言われなくても、周りの警戒くらいしろよ!
僕が木の上を見ると、既にゴブリンの姿はなかった。
工藤によると、僕のお尻にゴブリンのこん棒が、クリーンヒットして、僕が痛がっている間に、木から降りて逃げて行ったそうだ。
チキショー!
もう駄目だ。
ゴブリンのこん棒を何発もお尻にくらい、お尻が痛い。
仕方なく、僕は撤退を決断する。
僕達は、やっとダンジョン出入口まで戻ってこれた。
しかし、ここには、ゴブリンが20匹以上も集まっていた。
何で、こんなに居るんだよ!
ゴブリンは、ダンジョンの階層を超えて移動は出来ない。
トンネルの中に入れば安全だ。
だが、ここでビビっていたら、ゴブリンスレイヤーにはなれない。
まてよ。
逆に、チャンスじゃないか?
ゴブリンよ。
ここで全滅させてやる!
僕はゴブリンに向かって、ゆっくり進む。
右肩に斧を背負って。
何時でも斧を振り下ろせる体制だ。
僕が進んで行くと、ゴブリン達は僕を取り囲む。
工藤の事は、眼中に無いみたいだ。
こん棒では、びくともしない防御力だと理解しているのか?
ゴブリンの分際で、なんて生意気なんだ。
僕はタイミングを見計らい、僕の正面にいるゴブリンに斧を振り下ろす。
やったぞ!ヒットした。
ただ、当たった場所が浅かったみたいで、まだ、粒子になって消えていない。
今回は、力をセーブしたから、斧は地面に突き刺さっていない。
僕は斧を小さく振りかぶる。
そして、倒れているゴブリンに止めを刺す。
やったぞ!遂にゴブリンを倒した!
そう思ったとき、僕のお尻に激痛が走る。
「痛い!」僕一人を取り囲み、後ろからこん棒で攻撃するなんて、卑怯だぞ!
駄目だ。
お尻が痛い。
いや、どちらかと言うと熱い。
お尻が燃える様に熱い。
もう無理だ。
僕は工藤を呼び寄せて、背中合わせに立つ。
僕の背後には、工藤がいる。
これで、僕のお尻は守られる。




