高杉君VSゴブリン①
昨日ゆっくり休んだ僕は、工藤とダンジョンにやって来た。
今日の獲物はゴブリンだ。
圧勝する未来しか見えない。
ひょっとすると、僕はゴブリンスレイヤーの称号を手にしてしまうかも知れないな~
楽しみで仕方ない!
ロッカーに預けていた武器と装備を持って、更衣室で着替えていると、他の探索者達の話が聞こえてくる。
「サンライズって凄いな!」とか「Fランクから、たった数ヶ月でAランクにまで駆け上がった」とか「魔法系で最強と言われているリッチを2体も倒した」とか。
そんなパーティーがいたのか。
だったら僕も、アッと言う間にAランクになれるな!
サンライズと言ったか?そいつらより、短い期間でAランクになって話題独占だ!
僕が最短記録でAランク探索者になって、中森さんに「僕のAランクパーティーに入らないか?」と声を掛ける。
うん。
良いかも知れない。
楽しみになってきた!
サンライズ!お前達を僕のライバルと認めてやるよ!
でも、お前達の記録を抜くのは僕だけどな!
僕は、工藤を伴ってダンジョン地下4階にやってきた。
ダンジョンマップに記載されていた通り、森林地帯だった。
入ってすぐの場所は、開けていているけど、その先は獣道みたいな人が一人通れるくらいの細い道が四方に広がっている。
僕が先頭を歩く事にする。
工藤は僕の後に続く。
途中で、幾つもの別れ道になっていて、少しでも広そうな道を歩いて行く。
道が狭いと、僕が斧を振る時に木が邪魔になるからだ。
ダンジョンマップには、ゴブリンは3~5匹で行動する事が多いと書いてあった。
しかし、なかなかゴブリンが見つからない。
僕は左右を見回しながら進んでいると、足がつまずき転んでしまった。
とっさに斧を手放し、両手を地面に着く。
四つん這いの格好だ。
すると、お尻に激痛が走る。
「痛い!」僕は叫ぶ。
後ろを振り返ると、僕のお尻に、ゴブリンのこん棒がヒットしていた。
工藤が慌てて近づくと、ゴブリンはダッシュで逃げて行った。
僕が足元を見ると、木の皮で作られた紐が張られていて、僕は紐に足をとられて転んだ様だ。
チキショー!
僕とした事が。
ゴブリンの罠に引っ掛かるとは…
しかも、僕の大切なお尻に、こん棒をヒットさせるなんて絶対に許さない!
僕達は、ゆっくりと、慎重にゴブリンを探しながら歩く。
しかし、ゴブリンは見つからない。
やはり、工藤が邪魔をしているのではないだろうか?
工藤が歩く度に金属が、擦れる音がする。
ゴブリンは、その音を聞いて逃げてしまう?
そんな気がする。
どうしたものか?
…工藤には動かず、じっとしてて貰い、僕が木の影に隠れて待ち伏せするか?
ゴブリンは、動かない工藤を見て、様子を見ようと近づいてくるハズだ。
よし、ダメ元で、やってみるか。
細い道が交差する、交差点みたいな場所の角に工藤を立たせる。
そして、音をたてない様に、じっとしててもらう。
僕は近くにある、大きな木の裏に隠れてゴブリンが来るのを待つ。
暫くすると、ゴブリン達がやってきた。
工藤を警戒している。
ゴブリン1匹が、ゆっくりと工藤に近づいてくる。
僕は、音をたてない様に気を付けながら、木の後ろからゆっくりと、ゴブリンに近づいて行く。
いまだ!僕は木の裏から飛び出し、斧を右上から左斜め下に振り抜く。
すると、ゴブリンは、しゃがんだ。
僕の斧がゴブリンの上を通り過ぎて、木にめり込む。
思い切り力を込めていたから、斧が木から抜けない。
次の瞬間、僕のお尻に激痛が走る。
「痛い!」また、ゴブリンのこん棒が、僕の大切なお尻にヒットしたのだ。
チキショー!
僕は工藤を呼ぶ。
工藤にも手伝ってもらい、なんとか斧を木から外した。
僕は辺りを見回す。
しかし、ゴブリン達は逃げた後だった。
くそー!ゴブリンめ!ふざけやがって!
絶対に許さない!
今に見てろよ!!




