拓哉と美鈴は、大金を手にする。
僕達は、天空の城から地面に降りて、ダンジョン出入口に向かう。
ダンジョンを出ると、事務員さんから「支店長がお呼びです」と言われた。
支店長とは、さっき話したばかりだけど、何かあったのかな?
僕達は、支店長室に向かった。
「拓哉、美鈴。何度も悪いな。お前達から預かっていた魔法の杖と、リッチの魔石が、今日開催されたオークションで落札されたと連絡がきた。お前達がダンジョンに来ていたから、ついでに報告しようと思ってな」支店長は、そう言った。
サンライズのパーティー資金を確認する。
すると…約3,800万円になっていた!
税金やオークション手数料を引いた金額をパーティー資金に入金してくれたそうだ。
僕と美鈴さんは、金額の多さにビックリして、支店長に経緯を聞く。
支店長によると、2名の投資家が、魔法の杖を落札しようと競って、金額が上がったらしい。
何故?投資家なんだ?
「杖を手に入れた投資家が、探索者に貸し出して、リース料を受け取るんだ。虫系や植物系の魔物は、火魔法に弱い場合が多い。ダンジョンのフロアーボス等を倒す時に、探索者パーティーが投資家から杖を借りて、火力を補う」と、支店長から説明を受けた。
支店長によると、怪我を負って引退した探索者が、自分が使っていた武器や装備を貸し出して、生活費の一部にしている人もいるらしい。
なるほど、そう言う方法もあるのか。
今度、宝箱からアイテムが出てきたら、売却せずにリースするのもありだな。
裏山ダンジョンのスライムの魔石。
地下3階の湖の魚の魔石。
それに、アイテムを貸し出せば、生活費の心配をする必要は無いかも知れない。
使わないアイテムは、天空の城にある部屋に置いておけば良い。
あそこは、風精霊のガードマン付きだし良い考えじゃないか?
後で、美鈴さんと相談しよう。
僕は隣に座る美鈴さんを見る。
すると美鈴さんは「結婚式に披露宴と…新婚旅行に行って…あとは…」
小さい声で、一人言を言っている。
「美鈴さん!」僕が美鈴さんを呼ぶ。
すると美鈴さんの意識が、現実世界に戻ってきたみたいだ。
「拓哉さん!将来、家も建て直さないといけないし、教育費とかお金がかかるから、もっとお金を貯めようね!」と興奮気味に言う。
僕は、美鈴さんの勢いに圧倒され、黙って頷いた。
僕達は、2階の食堂で健太さん達の帰りを待つ事にする。
隣を歩く美鈴さんはご機嫌で、鼻歌が聞こえてくる。
その後、僕達は、健太さん達と無事に合流した。




