高杉君はダンジョン入口で中森さんと白石君を見掛ける。
夏休みが始まり、僕は工藤を連れて、ダンジョンにやって来た。
装備を身に付けた僕達は、ロビーに移動する。
相変わらず、工藤の金属製の甲冑が擦れる音がうるさい。
今日、僕達は地下3階に行って、角ウサギを刈る予定だ。
工藤が「中森さんじゃないか?」と言う。
なに!本当か?
僕は慌てて振り返る。
慌てていたので、斧が重くて、よろめいてしまった。
本当だ!中森さんだ!髪をポニーテールにしている。
学校では体育の授業の時しか見ない髪型だ!
それに、水色の凄く綺麗な装備を身に付けていた。
…綺麗だ!
僕は見惚れた。
心臓がドキドキする。
休日に彼女を見れるなんて!
今日はラッキーディーだな!
彼女の後ろ姿に見惚れていると、僕の視界に白石が入ってくる。
何で白石が居るんだ?
しかも、スニーカーを履き、普段着のままだ。
装備もつけてない。
背中にリュックサックを背負っていた。
…そうか。
分かったぞ!
白石は貧乏だから、装備を買えないんだ。
貧乏な白石を可哀想に思った中森さんが、兄に頼んで、荷物持ちのアルバイトをさせているんだな!
そう考えると辻褄が合う。
やはり、資金力が物を言うな!
将来、僕のパーティーに中森さんが加入し、中森さんから、どうしてもとお願いされたら、白石を荷物持ちで雇ってやろうかな。
そして、僕の凄さをその目に焼き付けるんだ!




