高杉君は工藤君の装備を買う。
自分の装備を購入した僕は、工藤の元に向かった。
…工藤は、全身を金属製の甲冑を着ていた。
西洋の騎士が着ていそうな甲冑姿だった。
腕とか足とか、胴体部分も、すべて角ばった感じの金属製だ。
そして、左手に大盾を持っている。
何か、アニメに出てくるロボットみたいだ。
「高杉!見てくれ、この甲冑姿を!ロボットみたいでかっこ良いだろ!」と、工藤がほざいている。
馬鹿か?馬鹿なのか?何がロボットだ!
お前は小学生か?
「ところで工藤。お金はあるのか?」僕が聞くと「いや、俺は金を持ってない」と工藤は答える。
お金も無いのに、買う気でいるとは、やはり馬鹿だな。
しかし、工藤がいないと、僕1人で探索は無理だ。
仕方無い。
不本意ではあるが、僕が買ってやる事にする。
これで、工藤に恩を着せる事が出来る。
それに僕が有名大学に進学する時に、工藤の事は切り捨てる予定だ。
手切れ金として、買ってやるよ!
それまでは、せいぜい僕の役に立てよ!
代金を払い終わり、僕と工藤は腕試しに行く事にした。
ダンジョンマップによると、地下1階は草原の1本道になっていて、道の両側の草原地帯には、スライムしかいないらしい。
スライムは物理攻撃に強いそうだが、僕の強力な斧なら、一撃で倒せるハズだ。
僕は、工藤を伴って、ダンジョン出入口に向かって歩く。
工藤の金属製の甲冑が擦れる音がうるさい。
大盾が重いのか、工藤が杖みたいに1歩あるくごとに、大盾の底の部分を床に下ろす。
そして、僕達は、探索者協会の職員さんに「床を傷付けるな!」と怒られた。
…工藤のせいで、パーティーリーダーの僕まで怒られた。
僕の評判が悪くなるではないか。
いい加減にしろよ!
工藤!
仕方無く、僕達はショップに戻り、工藤の大盾の底の部分にオプションでゴムを取り付けた。
追加料金を払って。
当然、僕のお金だ!
工藤!お金は計画的に使え!
あれば、あるだけ、使いやがって。
貯金が1円も無いなんて、馬鹿じゃないのか。
そして、僕達は、改めてダンジョン出入口に向かった。
これから、スライム狩りだ!
やっと僕が中森さんのヒーローになる。
ここから僕の第1歩が始まる。
楽しみで仕方ない。
僕は、気を引き締める。
そうしないと、斧が重くて、よろめいてしまうからだ。
しかし、すぐにレベルアップするから、何の問題も無い!
僕達はダンジョン出入口で、係員に探索者カードを提示して、ダンジョンに足を踏み入れた。




