支店長は拓哉に依頼する。
俺は報告書を提出し、今は本部の指示待ちだ。
うちの支店に所属する探索者では、荷が重い。
約1名、リッチを討伐した実績のある探索者がいるが、まだ15歳の未成年者だ。
俺は、なるべく拓哉を危険な場所に行かせたくない。
だから、可能な限り、拓哉の名を伏せる形で報告書を書いた。
そんな時、拓哉がやってきた。
美鈴も一緒だ。
地下3階の探索をしたから、その報告だと言った。
また、何かしたのか?
俺は拓哉の話を聞く。
水精霊の話だった。
拓哉の話を聞き終え、俺は決断する。
普通の人間には、精霊が見えない。
精霊に関する事は拓哉に任せよう。
何かあれば、拓哉は必ず報告に来る。
その時、また考えれば良い。
正直、今は余裕も無い。
すまん!拓哉!
地区本部から連絡が来た。
本部からの指示だと言う。
リッチを討伐した探索者を同行させ、地下2階の右側の壁の上を調査せよ。
やはり、こうなったか…
拓哉は探索者だ。
危険を承知で探索者になった以上、正当な理由が無いと依頼を断れない。
そして、俺は支店長。
上から指示があった以上、拓哉に依頼しなければならない。
俺は、拓哉が学校の授業が終わり、自宅に着いているであろう時間を見計らって電話をする。
電話に出た拓哉に、調査を依頼すると「学校が休みの土曜日なら良いですよ!」と、すんなり依頼を受けてくれた。
話した感じでは、拓哉は、まったく危険だとは思っていない様だった。
あいつは精霊を自分の家族だと言っていた。
だから信頼しているのだろう。
俺は感謝の言葉を言い、電話を切った。




