支店長は忙しい②
左側の壁の足場を設置する工事が始まった。
左側の壁の近くに足場を組んだ後、我々の調査前に、誰かが勝手に上に登り、現場を荒らされたら困る。
そこで、警備員を配置する等、打ち合わせをしていると、電話がかかってきた。
探索者協会の研究所からだった。
俺が書いた報告書を見て、電話をしてきたそうだ。
サボテンみたいな植物は、新種の可能性があり、調査に同行したいと言う。
あそこなら、危険は無いから、足手まといになる心配もない。
それに、もし新種で、素材として価値が発見されたら、支店の利益になる。
俺は同行を承諾した。
次の電話は常務からだった。
俺が書いた報告書を見たらしい。
常務は左側の壁は眼中になく、右側の壁の事ばかり口出ししてくる。
また宝箱が出るかも知れず、それを売れば探索者協会の利益になるとか、拓哉から預かり、いま俺の手元にあるリッチの魔石はオークションにかけろ!その方が高値で売れるとか、金の話しばかり言う。
俺が「危険を伴うから、メンバーが揃うまでは、調査は難しい」と言うと、「急げ!もたもたするな!」とプレッシャーをかけてくる。
俺だって、出来る事なら早くやりたいんだ!と言ってやりたい。
でも、常務相手にそんな事は言えない。
無理をして、予期せぬ災害が発生するかも知れない。
まだ、時間はあるんだ。
俺はなるべく引き伸ばそうと粘る。
すると常務が、本部所属で神官のJOBを持つスタッフ2名を派遣すると言ってくれた。
正直、これはありがたい。
本部所属の神官となると、相当レベルが高いハズだ。
常務がここまで譲歩している。
これ以上の引き伸ばしは無理だと判断した俺は、可能な限り、早く調査すると常務に伝えた。
左側の壁を調査する前日に、研究所のスタッフが挨拶にきた。
そこで、細かいスケジュールを彼らに説明する。
特に質問も無い様なので、今日はこれで解散。
俺も、明日に備えて、今日は残業せずに帰宅した。
あ~疲れた。




