ダンジョン地下3階④
昼食のお弁当を食べ終わり、お茶を飲んでのんびりする。
近くにいた角ウサギの魔物は、すべてスノーが倒したみたいだ。
スノーは魔物を倒す度に魔石を咥えて戻ってくる。
中森さんが「偉いね!」と誉めてあげる。
そして、もふる。
僕は魔物が湧かない湖が気になり、偵察に行きたいと言うと「私も一緒に行くよ!」と中森さんが言う。
そこで荷物を片付け、地図を確認して、2人で歩き出す。
何故か?手を繋いで。
そして目的の湖に到着する。
すると、我が家の3精霊がそこにいた。
それと、もう1体。
中位精霊に進化したアネモネやフリージアより大きく、水色の髪に水色の瞳。
そして水色の羽根が背中に付いている。
間違いなく精霊だ。
しかも上位種。
僕がそう思っていると、その水色の精霊が僕に言った。
「あなたの事は、この子達に聞いたわ。とても精霊を大切にしているのね」
僕は答える。
「僕の家族ですから、当然です!」
すると、水色の精霊が「あなたにお願いがあるの。この子を一緒に連れて行って」
水色の精霊がそう言うと、小さな水色の精霊が湖の中から現れた。
ビオラと同じ位の大きさだから、下位精霊みたいだ。
「この子に外の世界を見せてあげたいの」
大きな精霊がそう言うと、小さな精霊が僕のところに飛んできた。
僕は契約する為に名前を考える。
水色のお花の名前が良いかな?
うちの子は、みんな花の名前から名付けたし。
君の名前は「ベロニカ」どうかな?
僕がそう言うと、水色の精霊は首を左右に振る。
気にいらないみたいだ。
困った。
閃かない。
精霊が見えず、キョトンとしている中森さんに状況を説明し「水色のお花の名前って知ってる?」と、中森さんに尋ねる。
中森さんは、人差し指を唇にあて、そして「ルピナスなんてどうかな?」そう言った。
すると精霊は、うんうんと頭を上下に振っている。
どうやら、気に入ったみたいだ。
僕は水色の精霊に「君の名前はルピナス」
そると光り輝き、機械的な女性の声が頭の中に響く。
≪水の精霊との契約が成立しました≫
やった!
新しい家族が増えた!
やはり、この子は水の精霊だ。
「ルピナス!これからよろしくね!」
僕の契約精霊4体は、手を繋いで空を嬉しそうに飛んでいる。
湖の大きな精霊は、もう一つお願いがあるそうだ。
「湖の底に、魔石が大量に沈んでいるから持って行って欲しい」と言う。
どうやら、この湖だけ魚の魔物が居ないのは、精霊が倒しているからみたいだ。
魚の魔物が邪魔で倒すと、魔石が湖の底に溜まり、その魔石も邪魔だと。
僕が背負っているリュックサックに入る分で良ければ、貰って行くと言うと、湖から間欠泉の様に魔石が沸きだし、僕の足元に落ちる。
中森さんに手伝ってもらい、リュックサックに詰め込んだ。
「近くに来る事があったら、また、魔石の回収をお願いね!」と言われ、僕は「分かりました!」答えた。
これは、間違いなく支店長への報告案件だ。
戻ったら報告しよう。
中森さんと2人でお礼を言って、僕達はダンジョン出口に向かい歩き出す。
そして僕は、前々から感じていた事を中森さんに話す。
「白玉とスノーは、精霊が見えている」
たまに精霊達を目で追う時があり、さっきも湖の大きな精霊を見ていた。
それで僕は確信した。
すると、中森さんが白玉とスノーに聞く。
「あなた達は、精霊がみえるの?」
すると2匹は鳴いて答えた。
中森さんが落ち込む…「私だけ見えないんだ…」
何とかしてあげたいけど、こればかりは、どうにも出来ない。
僕は黙って隣を歩く中森さんの手を握る。
中森さんの機嫌がだんだん良くなる。
あ~良かった。
僕は小さく溜め息をついた。




