支店長は胃が痛い②
ダンジョンから出た僕は、支店長に会いたいと、受け付けの人に言う。
「お約束はしていますか?」
僕はしていないと答える。
「探索者カードをお願いします」と言われ、僕はカードを渡す。
「聞いて参ります。暫くお待ち下さい」と言って、奥の部屋に入って行った。
すぐに部屋から出てきて「お会いになるそうです」と言って、僕を通してくれた。
暇なのかな?
僕は支店長室に入って、応接のソファーに座る。
「どうした?何かあったか?」
支店長が聞いてくる。
僕はダンジョン地下2階に行ったと言うと「あそこは何も無かっただろう」と言う。
僕が左側の壁の上に女神の石像があって、そこで宝箱を見付けたと言うと、支店長は「本当か?どうやってあの上に登った?」
僕は、風の魔法で空を登ったと言うと、支店長は、こめかみを押さえいた。
また、偏頭痛かな?
そして大きな岩の裏側にある隙間を通り抜けて、岩の裏側に出たと話す。
その岩の裏側には、女神像が彫ってあることも伝える。
女神像の足元に宝箱があって、卵が出てきたと言い、リュックサックから卵を出して支店長に見せる。
「これは魔獣の卵か」
「魔獣?」
「ああ、そうだ。テイマーのJOBを取った人しか孵せない卵だ。テイマーの魔力を吸って成長するらしい。そして、そのテイマーが名前を付けて契約するんだ」
「売るなら買いとるぞ、この卵は、どんな魔獣が生まれるか?分からないんだ。ランダムに決まるらしいぞ。だから、この卵を買うのは、テイマーだけだ。それと知っていると思うが、探索者協会以外への売却は禁じられているからな!」
僕は、「お金に困ったら売る」と伝える。
そう伝えると、支店長は「話は分かった。報告を感謝する」そう言った。
僕は、まだ続きがあると言い、今度は右側の壁の上の話をする。
トンネルがあり、進むと幽霊が出てきたこと。
道の真ん中と左側。
それから右側の壁に罠があったこと。
一番奥に大きな両開きの扉があり、中に入ると大きな魔法陣から、幽霊の親分が出てきたこと。
フリージアが倒したら、大きな魔石と宝箱が出てきたこと。
僕はリュックサックから、赤い大きな魔石を取り出した。
その魔石を見た支店長は、凄く驚いた顔をして、また、こめかみをを押さえいた。
出て来た宝箱に、アネモネが攻撃したら、口を開けて威嚇してきて、内側に牙が生えていたこと。そして、その宝箱の魔物を倒したら、また、別の宝箱が出てきて、中身はまた卵だったと。
僕はリュックサックから、別の卵と宝箱の魔物からドロップした魔石を取り出し、支店長に見せた。
支店長は、中指でテーブルに何度も、こっこっと叩いていて、何かを考えいるようだった。
暫く間が空いて、支店長が話し出した。
「お前は、非常識だと改めて理解した。まず、お前が倒した幽霊は、レイスと言う。物理攻撃が効かない魔物で、聖魔法(光魔法)じゃないと、なかなか倒せない。しかも、レイスに触れると状態異常を引き起こす、厄介な魔物だ」
「それから、幽霊の親分だったか?それはリッチと言う魔物で、魔法系の魔物の中でも、最強の一つだ。世界でも、数体しか討伐に成功していない。最後に宝箱の魔物だ。あれはミミックと言う魔物だ。迂闊に近づくと鋭い牙で腕なんて、簡単に噛みちぎられる」
「いかに自分か非常識か分かったか?」
「そんなこと言われても、知らないよ。
フリージアが肩に触れただけで、光の粒子になったんだから」僕がそう言うと、支店長はタメ息をついた。
「とにかく、上に報告しておく、また、何かあったら報告しろ!良いか、絶対だぞ」
「分かりました」
「それからその魔石は売ってくれるんだよな?魔石(証拠)が無いと、俺の話だけじゃ信じてもらえないぞ」
「別に信じてもらえなくても良いけど」
「それじゃあ、俺が困る。魔石を売ってくれ!」
支店長からそうお願いされて、僕は魔石を売ることにした。
そして僕は部屋を出た。




