ゴールデンウィーク⑤
僕の話を聞き、支店長は頭のこめかみを押さえる。
偏頭痛持ちかな?
フリージアに頼めば治るかな?
そう思っていると「もっと分かり易く言え!」と怒られる。
仕方なく、僕はもう一度説明する。
「僕が契約している光の精霊の力で治しました!」
その後も支店長から、あれこれ聞かれる。
「つまりお前さんは、精霊使いのJOBを持っていて、光・闇・風の精霊を使役してるんだな?」
「はい!そうです。」
さっきから、何度もそう言ってるじゃん。
「話はだいたい分かった。何かあったら連絡する。今日は帰って良いぞ」
支店長からそう言われ、僕は部屋を出て1階のロビーに戻る。
ロビーに戻ると、さっき怪我を治した、探索者パーティーの男4人に取り囲まれた。
4人ともガタイが良くて、強面だ。
すると「さっきは、ありがとうございました!」
4人が頭を下げてきた。
そして、左腕を怪我していた、パーティーリーダーの男が「お礼がしたい、たいした事は出来ないが、付いて来て欲しい」と言って歩き始める。
僕はその後を歩き、2階の食堂に行く。
「何でも好きな物を食べてくれ。こんなこと位しか出来なくて済まない」そう言った。
僕はホットケーキセットを注文。
みんなで、6人席に座り話をする。
リーダーの名前は中森健太さん。
幼馴染みの4人でパーティーを組んでいるそうだ。
先ほどの治療の事を聞かれたから、僕は正直に答える。
信じるか?信じないかは、相手次第。
契約精霊の力で治したと話すと、みんな信じてくれた!
「実際に治してもらったのに、信じない訳がないだろう?」
そう言って健太さんは、笑った。
その時、健太さんの携帯が鳴り「2階にいる」その一言だけ言って、健太さんは電話を切った。
誰かが走る音が聞こえる。
「お兄ちゃん、怪我は大丈夫?」
若い女性の声だ。
僕は振り返る。
うん。
知ってる顔だ。




