ゴールデンウィーク④
僕は食堂を後にして、エスカレーターで1階に向かう。
すると、何だか騒がしい。
「道を開けろ!」とか「邪魔だ、そこをどけ!」「医者を呼べ!」等の怒鳴り声が聞こえてくる。
喧嘩かな?嫌だな。
エスカレーターが1階に到着する。
すると、血だらけの人達がいて、その中で一番怪我の酷い人は、担架に載せられている。
…左手が切断されてる。
周りの人達の会話が聞こえてくる。
どうやら、魔物との戦闘で怪我をしたみたいだ。
この左手を切断した人が、パーティーリーダーで、仲間を庇って負傷したらしい。
僕は心の中でフリージアに問い掛ける。
あの怪我を治せる?
骨があり、筋肉・神経・血管、そして皮膚のイメージを思い浮かべる。
すると、フリージアは、うんうんと首を縦に振る。
僕は勇気を出し、大声を出す。
「そこをどいて下さい!」
僕は担架の横に移動し、近くにいるおじさんに、切断した腕を持ってもらい、腕の根元の骨に、切断された腕の骨どうしを合わせる。
「フリージアお願い!」
すると、怪我をした腕が光り輝いた。
光が収まり、腕を見ると、綺麗に元どおり。
やったね!
僕は、フリージアに指示を出し、他の怪我人を治療した。
全員の怪我を治し終わり、あ~終わったと思ったら…
さっき、左手を持つのを手伝ってもらった、おじさんが「ちょっと来い!」と言って、僕の腕を掴み、僕を引っ張って行く。
このおじさん…誰?
僕は、おじさんに連れられて、受け付けカウンターの脇を通り抜け、その奥の部屋に連行される。
このおじさんは、探索者協会の支店長さんでした!
さっき助けた人達は、若手の有力パーティーで、あのまま怪我が治らなければ現役引退。
パーティーは解散になるところだったそうだ。
支店長は「ありがとう」と言って、僕に頭を下げた。
僕は、悪い人ではなさそうで安心した。
「ところで…さっきのあれ、何だ?あの光は、お前さんが何かしたんだろ?」
どうしよう。
精霊の話を信じてくれるかな?
でも、1つ嘘を付くと、その嘘を隠す為に、また嘘を付き、どんどん嘘が積り積もって、話の辻褄が合わなくなり、何れバレる。
そして、信用を失うんだよなぁ~
僕は、正直に話す事にする。
「光の精霊の力です」
うん。
説明終了。
完璧だ!




