正木君は美鈴に会う口実を考える。
う~ん。
美鈴さんに会う為の良いアイデアは無いだろうか?
梓を使い、サンライズとの2回目の同行を依頼させたが、断られてしまった。
僕が梓に文句を言うと「1回だけって約束だって説明したじゃない!何度も同じ事言わせないで!」とキレられた。
僕は、ほんの5~6回しか梓に頼んでないのに…本当に心が狭い女だ。
そんな事だから、サブヒロイン止まりなんだ。
しかし困った。
う~ん。
…そうだ!良いアイデアが閃いたぞ!!
この方法なら上手く行くかも知れない。
うふふ。
僕は思わずニヤついてしまう。
美鈴さんのJOBはテイマーだ。
だから、僕も魔物をテイムするのだ。
でも僕は、テイマーのJOBは有していない。
最弱と言われいるスライムなら何とかなるんじゃないか?
スライムをテイムした僕は、テイマーのJOBを持つ探索者に働き掛けて、テイマーサークルみたいなものを設立する。
この探索者協会の支店の中で、1番探索者ランクの高いテイマーは美鈴さんだ。
だからサークルに入って欲しいと美鈴さんに頼むのだ。
美鈴さんは「良いわよ!」
うん。
きっとそう言うに違いない!
楽しみになってきた!!
そして、スライムのテイムに成功した僕も、当然そのサークルに加入する。
そうすれば自然な形で美鈴さんと会う事が出来る。
白石の奴はテイマーじゃない。
つまり、邪魔者の白石が居ない場所で、美鈴さんと会う事が出来る。
ふふふ。
今日の僕は冴えてるぞ!
楽しみになってきた!!
僕が白石抜きで美鈴さんと会い、そして白石の闇魔法から美鈴さんを救う未来がみえる。
そして美鈴さんが「正木君!白石君の闇魔法から、私を救ってくれてありがとう!私…目が覚めたわ!」
うん。
きっと、そうなる!
そして勇者の僕と、ヒロインの美鈴さんは引かれ合い、そして結ばれるのだ。
ふふふ。
想像しただけで、僕はニヤニヤが止まらない。
さて、計画を立てるか。
きちんと計画を立てないとな!
行き当たりばったりだと、失敗する事が多い。
その点、計画をキッチリ立てる僕に死角はない!
★★★★★
僕は探索者協会の支店に併設されている売店にやってきた。
売店のおじさんに相談する為だ。
店内に入ると、おじさんが「何か欲しい物かあるのかい?」と優しく話し掛けてくる。
僕は「スライムを入れるネットみたいな物ってありますか?」と聞く。
「スライムか…あの魔物は何でも溶かして食べてしまうからな~ほんの数日だけなら、これが使えると思うよ」
そう言って網のネットを棚から出して、見せてくれた。
「スパイダーと言う魔物を倒すと、希にドロップする糸を使って作った物なんだ」
僕は網のネットを手に取る。
バレーボール?いやバスケットボールか?
ボールが1個入る位の大きさの網ネットだった。
良いんじゃないか?
これならスライムを入れても逃げ出せなそうだし…数日なら溶けないのも良い。
貴重なドロップアイテムを使ってるから、値段は高いが、それだけ良い物なんだろう。
安物買いの銭失いって言葉もあるし…値段に比例するハズだ。
それに僕には、宝くじの当選金がある。
「これ下さい!」
僕は、その網ネットを買った。
売店を出た僕は、そのままダンジョンゲートを抜ける。
そして地下1階にやってきた。
僕は視線を上に向ける。
あの雲の上に城があるらしい。
下からでは雲しか見えない。
美鈴さんは、まだ、その城で暮らしているのかな?
僕は辺りを見回すが、美鈴さんの姿は見付からなかった。
「偶然でも良いから、会えれば良いのに…」
僕は一人言を言う。
さて、計画の為には、まずスライムを捕まえなくては…
草原には、たくさんスライムがいた。
ピョンピョン跳ねたり、コロコロと転がっている。
どの子にしようかな?
僕は観察し、そして1番おとなしいスライムに決める。
その子は、僕が近付いても逃げない。
ひょっとして、女神様が僕の計画に協力してくれているのだろうか?
よし!君に決めた!
僕はそのスライムを捕まえて、さっき売店で買った、網ネットにスライムを入れる。
僕は計画を立てる時に、ネットで検索して、テイムについて調べておいたのだ!
テイムするには、まず、魔物と仲良くなる。
そして名前を付ける。
魔物が受け入れれば契約が成立する。
最後に探索者協会で獣魔登録をする。
こう言う流れだ。
実に簡単じゃないか?
網ネットの中にスライム入れた僕は、名前を考える。
う~ん。
何にしようかな~
どんくさいスライムだから“ドンスラ”にするか…
僕はスライムを見ながら「君の名前はドンスラだ!」と言う。
…暫く眺めるが、変化がない。
確か…テイムに成功すると、頭の中に機械的な声が響くとネット情報に書いてあった。
まあ、仕方ない。
いくら優秀な僕でも、いきなりテイムに成功するとは思ってない。
僕は網ネットに入れたドンスラを頭の上に載せる。
そして紐を顎の下で締める。
今日1日、僕とドンスラは一心同体だ!
コミニュケーションをとって、仲良くなるんだ。
出来れば今日中に、テイムに成功しないかな~?
頭の上にドンスラを乗せて、僕は歩く。
僕は歩きながら、子供の頃に頭の上に膨らませた紙風船を載せて、新聞紙で作った棒で紙風船を割る、そんな鬼ごっこをしたのを思い出して懐かしくなった。
ドンスラを頭の天辺に載せた僕は、草原を歩いて、ダンジョン地下2階に向かった。




