勇気君は、拓哉を敵と認定する②
暫く様子を見るが、魔物が来る気配なんて無い。
それなに、僕以外の全員が、ダンジョン右側に意識を集中している。
こんな奴の言う事を信じるなんて…
馬鹿じゃないか?
僕がそう思っていると、後ろから複数の人間が走ってくる音が聞こえた。
僕は後ろを振り返る。
ヘルメットを被った支店長を先頭に、その後ろを探索者達が続く。
白石拓哉!これでお前もおしまいだな。
こんなに大事になって…何て馬鹿な奴だ!
ふふふ。
邪魔者が自滅した。
僕は嬉しくて仕方ない。
多分これでSランクパーティーもお仕舞いだ。
中森美鈴さんを僕のパーティーに誘おう。
ううん?
ひょっとしたら、これも女神様のイベントじゃないのか?
このイベントで僕と知り合い、そして僕のパーティー入りする。
中森美鈴さんは、本当に綺麗だ!
この物語のメインヒロインじゃないか?
幼馴染みの梓がサブヒロイン。
きっとそうだ!
そう考えるとシックリくる。
将来、勇者の僕とヒロインの美鈴さんがカップルになる。
ふふふ。
僕はニヤニヤが止まらない。
さあ、女神様の描いたストーリー通り、早く消えるんだ!
白石拓哉!!
★★★★★
…本当にダンジョンスタンピードが発生した。
ひょっとしたら、ここで僕が大活躍して、皆に認められ、そして勇者のJOBを得るストーリーかも知れない。
ふふふ。
僕が活躍するパートに違いない!
遂に僕が勇者のJOBを得る時がきた!!
美鈴さん!僕が活躍する姿をその目に焼き付けて下さいね!
僕は気合いを入れ、鞘から剣を抜いた。
★★★★★
…それなのに…なんだよ!あれは!!
僕が大活躍する間も無く、サンライズが魔物を総て殲滅してしまった。
僕が活躍出来ないじゃないか!
こんなのは、女神様が描いたのストーリーと違う。
どーなってるんだ!
まったく。
しかし、美鈴さんは凄い!
さっき女子3人で話していた時、僕は聞き耳を立てていた。
そして美鈴さんがテイマーだと聞いた。
まさか竜を使役していたなんて…
勇者になる僕と竜使いの美鈴さん。
それに、あの銀毛の狼。
あれは犬じゃなかった。
何と!フェンリルだと言う。
女子3人が楽しそうに話し、美鈴さんがフェンリルだと言っていた。
梓はピンときていない様子だが、僕は知っている。
あれは聖獣だ!
僕はライトノベルを何冊も読んだから知っている。
聖獣を使役しているなんて…勇者になる僕の彼女に相応しい!
うん。
最高のカップルだな!
それにしても白石拓哉は邪魔だ。
てっきり今回のダンジョンスタンピードで、再起不能に陥ると思っていたのに、何てしぶとい奴なんだ!
僕はふと、丘の下に生えている大きな木のある場所を見る。
すると、木の影から魔石が現れ積み上がって行く。
いや、現れると言うより、湧いて来ると言った方が良いかも知れない。
僕が疑問に思っていると、白石拓哉の奴が「契約している闇精霊が集めてくれている」と言った。
闇精霊だと…やはりそうか!あいつは闇の精霊使いなんだ!
闇…つまり悪だ!
僕は勇者になる男だ。
勇者は光の存在だ。
僕と正反対。
つまり、僕のライバルキャラだったのだ!
そして僕は確信する。
白石拓哉はラスボスじゃないのか?
そう考えるとシックリくる!
まてよ…そうか…なるほど…
僕がメインヒロインの美鈴さんを闇精霊使いから救い出す。
すると、美鈴さんが僕のパーティーに入り、そして僕達は結ばれる。
その為には、ラスボスの白石拓哉を僕が倒す必要があると言う事だ。
そうに違いない!
よし!今後のストーリーが分かったぞ!!
流石は僕だな!
よし、そうと分かれば、ラスボスの白石拓哉を倒すだけの力を手にしないといけない。
ダンジョンに潜ってレベルアップだ。
それと平行して情報収集も必要だ。
最も確実に情報を収集する方法。
それは、相手を直接自分の目で見て、相手の強みと弱みを掌握する事だ。
よし、梓から美鈴さんにパーティーで合同依頼を受ける打診をさせるか。
さっきも楽しそうに話してたし…
それに合同依頼を受ければ、美鈴さんに会える!
将来、僕のパートナーになる人だから、今からコミニュケーションを取っておいた方が良いし…
楽しみになってきた!!
よし、梓を上手く使って、合同依頼の打診だ。
今に見ていろ。
闇の精霊使い白石拓哉!
お前を倒すのは、正義の勇者であるこの僕だ!!
…正木君の妄想は止まらない。




