正木君達は、ダンジョンデビューする②
次は孝之がスキルを試してみる事になった。
孝之が呪文を唱える。
呪文を唱えた方が、魔法を発動し易くなると、探索者協会の人が言っていた。
呪文は、何でも良いらしい。
イメージの方が大切で、慣れてきたら呪文無しで大丈夫だそうだ。
孝之が持つ魔法の杖の先に火が灯る。
魔法の杖は、魔力を増幅してくれるそうだ。
そして孝之が、大きな声で「ファイヤーボール!」と言うと、その火の玉がスライムに向かって飛んで行く。
しかし、ファイヤーボールが、スライムに当たる直前にスライムがジャンプした。
ファイヤーボールは外れてしまう。
「孝之!大丈夫だよ!スライムを良く見て、もう1度やってみよう!」
梓が言う。
梓め…パーティーメンバーを慰めるのは、リーダーである僕の仕事じゃないか!
余計な事をしやがって…
まあ、良い。
僕は心の広い男だ。
勇者になる男だからな!
僕は孝之に「孝之!ドンマイ!」
僕がそう言うと、孝之は振り返り「ありがとう!もう1度やってみる!」
そう言った。
僕は孝之に「スライムが地面に着地するタイミングで狙うんだ!」
「その方が命中しやすいぞ!」
そして孝之が、もう一度スライムにファイヤーボールで攻撃する。
火の玉がスライムに向かって飛んで行く。
今度は見事に命中した。
スライムは光の粒子になって消える。
「孝之!やったね!」
そう言って梓が孝之に抱き付く。
梓!何で孝之に抱き付いてんだよ!
お前は聖女の役回りだろ!
だから将来、勇者の僕とカップルになるハズじゃないか!
…そうか、孝之はお邪魔キャラだな。
この前読んだライトノベルにも出てきた。
成る程…お邪魔キャラの妨害があって、それを乗り越え、勇者の僕と聖女の梓の絆が深まる。
つまり、必要なキャラだ。
ひょっとして、これも女神様の試練の1つかも知れないな…
しかし僕は優秀だ!
孝之に的確なアドバイスを与える事が出来る。
これもリーダーの素質だな。
さて、最後は梓だ。
「梓!僕に強化魔法を掛けてみてくれないか?」
僕が梓に言うと、梓が「分かった!」
そう言って、僕に強化魔法を掛けてくれた。
うん。
何だか体が軽くなった気がする。
僕はスライムに近寄る。
お~!
移動速度も早くなったみたいだ。
何時の感覚より体が早く動くから、危なく躓いてしまうところだった。
これは練習が必要だな。
強い魔物と戦う時、もし転んだりしたら、勇者の僕が危険だ。
スライムの近くに到着した僕は、今度はスライムがジャンプして空中にいるタイミングで剣を振った。
剣はスライムに命中し、スライムは光の粒子になって消えた。
「よし!また倒したぞ!」
討伐率100%だ!
孝之と梓が「流石は勇気だ!とか、勇気!凄いね!」と言って誉めてくれた。
うん。
良い感じだ!
「梓の強化魔法を掛けて貰うと、体が軽くなって、動きも早くなるから、訓練しないと躓いてしまいそうだ」
「だから孝之も練習した方が良いぞ!」
こうして僕と孝之は、スライムを倒す。
それから、梓に結界魔法の練習もさせる。
梓に何かあると、僕が困るからな。
お昼になり、僕達は1度ダンジョンから出た。
探索者協会でスライムの魔石を換金して貰った。
魔石は全部で21個あった。
僕達は、昼食をとる為、探索者協会の出張所に併設されている食堂に向かった。
3人で昼食を食べて、暫く休憩した。
僕はスライム狩りなんて楽勝だった。
勇者になる男だからな!
でも、孝之と梓は、まだ訓練が必要だ。
僕はパーティーリーダーとして決断する。
「午後からもスライム狩りを続けよう!」
「安全第一だ!」
孝之は、お邪魔キャラだから、どうでも良いが、聖女キャラの梓に何かあると僕が困る。
僕の提案に、2人とも賛成してくれた。
やはり僕にはリーダーの素質があるな。
僕は勇者になる為に産まれてきた男だからな!
こうして僕達は、午後もスライム狩りをして、無事にダンジョンデビュー果たした。




