正木君は探索者登録をする②
「おい、勇気?勇気のJOBは何だったんだ?」
孝之が聞いてきた。
だから僕は、皆に聞こえる様に大きな声で答える。
「僕は勇者だった!」
「お~!凄いな!」
孝之が言うと、今度は梓が「本当に?勇者のJOBを授かるなんて、凄い!」
ふふふ
良いぞ!
もっと僕を褒めるんだ!
僕は褒められて伸びるタイプだからな!
僕が良い気分でいると、職員さんが話し掛けてくる。
「あの~勇者のJOBは、とても希少なJOBなんです!」
「規則で勇者や聖女。大魔導師等の希少なJOBを授かった方は、念のため鑑定士の鑑定が義務付けられているんです…」
「疑う訳では無いんですが…規則ですので、鑑定を受けて頂けますか?」
「鑑定を受けて頂けないと、探索者カードを作成出来ません!」
やはり、こうなったか。
実はネットで調べた時、希少なJOBを授かると、鑑定士の鑑定を受けると書いてあった。
だから僕は、看破スキル所持者が居なそうな出張所を選んだのだ。
ふふふ。
僕の思惑通りの進行だ。
「はい!良いですよ!」
僕はJOBを偽装中だ。
探索者協会からお墨付きを貰えれば、誰も疑う者などいない。
そう!
これも女神様の試練のひとつ。
ここから女神様の試練が始まるのだ!
★★★★★
その後、僕達は探索者協会の事務所に戻って来た。
暫く待っていると、おじさんがやって来る。
「鑑定士の寒川です。鑑定を受けるのは誰かな?」
「はい!僕です!」
そう言って、僕は一歩前に出る。
すると、寒川さんと名乗ったおじさんが、僕を見る。
「お~!確かにJOBが勇者になっている!」
「希少なJOBを授かったね!」
おじさんが、そう言った。
すると、職員の女性が「まさか勇者JOBの人が現れるなんて、ビックリしました!」
「すぐに皆さんの探索者カードを作成しますね!」
そう言った。
やった!
女神の試練をひとつ乗り越えだぞ!
カードを貰った僕達は、探索者協会内にある売店に向かった。
やはり、支店より品揃えが少ない。
その代わり初心者向けのアイテ厶が充実している感じだった。
売店のおじさんが「自分のレベルに合った装備を選んだ方が良いよ!」
「そして、レベルが上がったら、自分のレベルに合った装備に買い替えるんだ」
なるほど…良い情報を聞いた。
僕は宝くじの当選金があるから、いきなり値段の高い、高レベルの装備を買ってしまうところだった。
僕は2人に声を掛ける。
「ここで一通り見て、気にいった物が無かったら、支店にある売店に行ってみよう」
「うん…でも私、そんなにお金持って無い…」
梓が言った。
すると孝之も「僕も…」
「心配するな!必要な物は僕が払う」
「だから遠慮しないで、自分に合った装備を選んで欲しい」
「え~でも悪いよ」
「2人共、ちょっと来てくれ」
僕が言うと2人が近付く。
「実は、宝くじに当選したんだ!」
「だから、僕はお金を持ってる」
「危険な探索者に誘ったのは僕だ」
「2人に何かあると僕が困る」
「だから、お金の事は気にしないで、自分に合った物を買ってくれ!」
「本当に良いのか?」
「ああ。かまわない」
「ここに良い物が無かったら、支店の方に行ってみよう」
「勇気!ありがとう!」
「気にしないでくれ!」
お前達に何かあると、勇者パーティーリーダーである僕の信用が下がるからな!
こうして僕達は、出張所と支店とを周り、自分達の装備を購入した。
3人で話し合い、来週の土曜日にダンジョンデビューする事にした。
まず、出張所が置かれている、レベルの低い方のダンジョンからアタックする。
そして慣れてきたら、ここよりレベルの高いダンジョンに移動する事にした。
いよいよ本格的に女神様の試練が始まる。
僕は楽しみで仕方無い。
女神様の試練を乗り越えて、僕は本当の勇者になるんだ!




