ヒーロー?正木君①
僕の名前は、正木 勇気。
勇者になる為に産まれてきた男だ!
僕は子供の頃、テレビ番組のヒーローに憧れた。
僕も将来、ヒーローになって、悪い奴らを懲らしめるんだ!
ずっとそう思って生きてきた。
僕はお爺ちゃん子だった。
僕のお爺ちゃんは、元警察官。
僕が子供の頃、よくお爺ちゃんから、悪い奴らを捕まえた話を聞いた。
お爺ちゃんもヒーローだ!
僕も将来、絶対にお爺ちゃんみたいなヒーローになるんだ!
お爺ちゃんは、僕の憧れただった。
でも、大好きだったお爺ちゃんは、僕が小学生の時に死んでしまった。
病死だった。
お葬式の時、僕はお爺ちゃんの替わりに、正義のヒーローになると心に誓った。
僕が中学生になった時、テレビで探索者の番組が放送された。
僕はその番組を見て、これだ!と思った。
探索者達が、危険を顧みず魔物を倒していた。
そう、探索者は悪い魔物を倒すヒーローだ!
僕はテレビ番組を見てピンときた!
探索者は、僕の為に出来た仕事なんだと。
正義のヒーローである僕が、仲間と共に悪い魔物を討伐するのだ!
僕は1人でダンジョンに向かった。
僕が向かったダンジョンは、探索者協会が管理している場所だった。
しかし年齢制限があり、僕は探索者登録が出来なかった。
探索者以外は、ダンジョンの中に入れないと職員さんから言われてしまった。
僕は早く悪い魔物を倒すヒーローになりたいのに…
職員さんから聞いた話では、初めてダンジョンの中に入った時、JOBが授けられるそうだ。
家に帰った僕は、ネットであれこれ検索する。
そして勇者と言うJOBが存在する事を知った。
僕はこれを見た時、ピンときたね!
勇者のJOBは正義のヒーロー。
つまり、僕の為のJOBなんだと!
そして僕は思った。
探索者登録は出来なくても、自分のJOBの確認だけなら良いんじゃないか?
僕が暮らす県には、探索者協会の支店が1つ。
それから、出張所が2つある。
ダンジョンレベルが高い方に支店が。
低い方に出張所がある。
僕は、警戒の緩そうな出張所に向かった。
ダンジョン入口にゲートが設置されていた。
門があり地面との間に隙間があった。
あの隙間を通れば、係員に見付からずに入れそうだ。
僕はこっそりと様子を伺う。
暫く様子を見ていると、チャンスが到来した。
係員がトイレに入ったのだ。
ゲートは探索者カードをタッチしないと開かない。
でも僕は、探索者じゃないからカードを持っていない。
僕が観察中に、数人の探索者がカードをタッチすると、ゲートが開くのが見えた。
係員がトイレに入ったのを、物陰から見ていた僕は、地面と扉の隙間を身体を屈めて進み、ダンジョン内への進入に成功した!
やったね!
僕は、人に見付からない様、ダンジョン内を素早く移動し岩影に隠れる。
すると、頭の中に機械的な声が響いた。
《魔法剣士のJOBを習得しました》
魔法剣士って何だ?
違う!
僕は勇者のハズだ!
どうなってる?
何で間違えるんだよ!
くそー!
怒りが込み上げてくる。
するとダンジョンの奥から、話し声が聞こえてきた。
探索者パーティーが戻ってきたみたいだ。
ヤバい!
見付かる訳には行かない。
僕は見付からない様に、岩影を移動する。
そして岩影に隠れていると、今度は別の方角から人の足音がする。
そうして僕は、見付からない様に、岩影に隠れながら、人の居ない方に進んで行った。
だいぶ洞窟の奥まで来てしまった。
帰り道が分からない。
タイミング悪く現れた、探索者達が悪いんだ!
あいつらのせいで、道に迷ったじゃないか!
くそー!
道に迷った僕は、人や魔物に見付からない様に、岩影に隠れながら、帰り道を探した。
そして探索者を発見する。
僕はこっそりと探索者の後を付いて行く。
出口に案内して貰うのだ。
流石は僕だ!
冴えてる!
僕がこっそり後を付いて行くと、急に探索者が振り返った。
僕は咄嗟に岩影に屈んだ。
その時、小さな岩を踏んでしまう。
岩が地面に沈み込む。
何だ?
次の瞬間、大きな岩の裏側の下の部分が音も無く開いた。
僕が覗き込むと、そこには小さな宝箱があった!
やったぞ!
宝箱だ!
僕は初めての宝箱にニヤニヤが止まらない。
僕は宝箱を開けると、表彰状みたいな紙が入っていた。
その紙は丸まっている。
僕はその紙を広げると、幾何学模様が書いてあった。
次の瞬間、頭の中を何かが書き込まれる様な感覚がした。
《スキル偽装を取得しました》
頭の中に、機械的な声が響いた。




