ダンジョン地下11階②
ヨモギが捕まえた魔物を見る。
色が黒くて、姿はツバメみたいな外見だ。
でも、クチバシの先が鋭く尖っていた。
この鋭いクチバシで攻撃されたら、かなりのダメージを受けるだろう。
体が小さく、色も黒くて見付け難い。
しかも、音も無く、飛ぶスピードも早い。
他の探索者が、何も知らずに中に入ったら、大変な被害を受けていたかも知れない。
僕が、そんな事を考えていると、今度はオークの大群が現れる。
ブヒ~!
オークが鳴く。
手にはこん棒を持っていた。
オークの巣になっているからか?
奥の方から次々に出てくる。
巣から外の森に出ていたオークが帰ってきたら、洞窟の中で挟み撃ちになるだろう。
ここは少しでも早く、オークを討伐した方が良さそうだ。
僕がそう思っていると、騎士達も分かっているのか?
騎士達がオークの大群に向かって突っ込んで行く。
うち漏らしたオークは、スノーと精霊達が倒して行った。
次々に魔物が魔石に変わる。
ヨモギが手を鞭の様に変化させ、魔石を拾ってくれた。
僕達が洞窟の奥に進むと、最奥は広い空間になっていて、そこに巨大なオークが1体。
さっき倒した、10階のボスと同じ位の大きさだった。
スノーが、凄いスピードで走り出す。
そしてオークの首に噛み付く。
するとオークが光の粒子になって消えた。
オークがいた場所には、魔石が1つ落ちていた。
「スノーは強いね!」
美鈴さんは、スノーを褒めながらもふっていた。
オークを倒した部屋の奥に扉が見える。
バッハが扉を調べている。
暫くして、バッハが戻ってくる。
「この扉は、人間しか開けられない様です」
確かに…魔物が開けられるなら、オーク達が開けているハズだ。
「いかが致しますか?」バッハが聞いてくる。
取り敢えず、進んで見るか?
バッハ達の転移門で、何時でも戻ってこられるし。
「美鈴さん。取り敢えず、先に進んでみても良い?」
「うん。良いよ!」
美鈴さんのOKが出たので、僕は扉の前に進んで行く。
そして扉の前で立ち止まり、取手に手を掛ける。
ゴゴゴ~
僕が力を込めなくても、扉がひとりでに開いた。
中は洞窟になっていて、やはり薄暗い。
僕達が全員中に入ると、ゴゴゴ~と、音を立てて扉が勝手に閉まった。
僕達は、洞窟の中を進んで行く。
暫く進むと地下12階に到着した。
ダンジョン地下12階は、沼地だった。
1度ここまで来ておけば、次からバッハ達の転移門で来る事が出来る。
そこで僕達は、11階の探索に戻る事にした。
バッハが転移門を開き、僕達は再び地下11階に戻る。
そして、左側の調査を再開した。
僕達が森の中を歩いて行くと、途中で何体ものオークと遭遇する。
その度に騎士達がオークを倒す。
そして、森の中をどんどん進んで行く。
「見て!拓哉さん。あそこに神社があるよ!」
美鈴さんが言う。
入口に赤色の鳥居が1つある。
鳥居の先に小さな神社が見える。
僕達は森の中で、小さな神社を発見したのだった。
僕達は鳥居の前で一礼し、鳥居の中に入って行った。
うん?
僕と美鈴さんは、後ろを振り返る。
バッハや騎士達は、鳥居の前で立ったままで、中に入って来ない。
どうしたんだろう?
するとバッハが「この聖域には、我々は入れない様です」
「もし罠があっても、精霊が罠を感知するでしようから、我々の事は気にせず、探索なさって下さい」
「バッハ達は悪魔から天使に変わったハズだ。何で入れないんだ?」
「信じる神が違うから?それとも日本人じゃ無いからか?」
考えても分からない。
「美鈴さん。どうする?」
「う~ん。精霊やスノーに白玉がいれば大丈夫じゃない?」
「だから探索しよう!宝箱があるかも知れないし!」
こうして僕達は、ダンジョン内の神社を探索する事にした。
僕達は石畳を歩いて行く。
僕達は、二礼して賽銭箱にお金を入れる。
鈴を鳴らし、手を合わせて、僕は安全を祈願する。
そして目を開けると…
賽銭箱が宝箱に変わっていた!
どう言う事だ?
ダンジョンは不思議がいっぱいだ。
僕がそう思っていると、美鈴さんが「拓哉さん!宝箱だ!」と嬉しそうに言った。
来週は、土・日に各1話づつアップします。




