ダンジョン地下11階①
移転石に触れて登録した僕達は、ダンジョン地下11階の探索をする事にした。
支店長によると、地下11階から先は、探索した探索者がほとんどいないから、正確な地図が出来ていないそうだ。
だからもし行くのなら、地図を作成する為の資料が欲しい。
情報にもよるけど、情報料を払ってくれるそうだ。
それに正確な地図があれば、他の探索者達の助けにもなる。
実際に僕達も、地図に助けられた。
だから僕達は、地図を作る為に、このフロアーをしっかり調べる事にした。
ダンジョンは広いから、多分、1日では終わらないだろう。
まあ、慌てる必要もないから、何時通り安全第一で探索する。
僕が精霊達に調査を頼むと、精霊達が飛んで行く。
まず、ダンジョン地下12階の入口へ続く道を調べる。
その後、道から左側を調査。
左側の調査が終わったら、次に右側の調査をする事にした。
今日は、ダンジョン地下12階の入口迄の調査で終わってしまうだろう。
ダンジョンは広いからな~
黒蜜の背中に乗って行けばすぐだろうけど、それじゃあ細かな調査が出来ない。
暫く待っていると、精霊達が戻り始める。
「ダンジョン地下12階の入口は見付かった?」
僕が聞くと、精霊達がうんうんと頷く。
「それじゃあ、道案内をお願い!」
僕が言うと、精霊達が先頭を進む。
僕達は、精霊の後を付いて、のんびり歩いて行った。
途中で、3体のオークに出くわしたが、精霊達の攻撃で、すべて光の粒子になった。
僕はダリアが、まだ、下位精霊だから、少しでも経験値を与える為、ダリアに魔物の討伐を頼んだ。
僕の中でヨモギは、癒し枠だから、無理に魔物と戦わせない。
ヨモギは、僕と美鈴さんの間に入り、3人で手を繋ぎながら歩く。
ヨモギのすぐ前をスノーが歩いて行く。
僕達の後ろをバッハ達が歩き、一番後ろが騎士達だ。
左右が森になっていて、森の中をオークが徘徊している様だ。
時たま森の中からオークが出て来るが、そのたびダリアの火魔法で倒して行った。
道の終点には山があった。
そして、道は山の中に1つだけある洞窟に繋がっている。
その洞窟の入口には、オークが2体。
どういう状況なんだ?
僕がそう思っていると、ヨモギが偵察に行っていた精霊達の通訳をしてくれた。
ヨモギは人の言葉が話せるから、精霊達とのコミニュケーションが取りやすくなった。
「マスター。あの洞窟が魔物の巣になっていて、あの巣の奥がダンジョン地下12階の入口です」
「中に魔物がいっぱいいます」
「そうか、ヨモギ!ありがとう」
僕がヨモギにお礼を言った。
まあ、僕達は強力な戦力を揃えているから問題ないだろう。
「美鈴さん。中に入ってダンジョン地下12階の入口まで行っても良いかな?」
「うん。分かった!」
美鈴さんも賛成してくれたので、僕達は中に入る事にした。
僕の騎士達が先頭を歩く。
その後ろがスノー。
3列目に僕達。
僕達の上空を精霊達が飛ぶ。
バッハ達は一番後ろを歩いて貰い、背後を守ってもらう。
「それじゃあ、行こうか」
僕が言うと、騎士達は鞘から剣を抜き、先頭を歩き出した。
そして、入口付近を守っていたオーク2体を瞬殺した。
僕達は洞窟の中に入って行った。
洞窟の中は薄暗い。
壁に苔が生えていて、その苔がうっすらと光っていた。
「マスター。空から何か来ると精霊が言っています」とヨモギが言う。
僕が上を注意して見ていると、空を何かが音も無く、飛んできた。
騎士達の剣が届かない高さだ。
剣に魔法を込めて、魔法の斬撃を飛ばせば攻撃出来るが、騎士達はそのままスルーした。
精霊達に任せるつもりらしい。
騎士達の上を抜けて、何かが飛んでくる。
それを精霊達が攻撃!
精霊の攻撃を受けて、次々に光の粒子になって消えて行く。
そして、魔石に変わり、地面に落ちる。
カラン!カラン!
魔石が落ちる音がした。
「魔石になるから、魔物だと思うけど何の魔物だ?」
地図に記載する時に必要な情報だ。
僕がそう言うと、ヨモギが僕達の手を放す。
ヨモギの手が鞭の様に変化する。
そして、上に向かって伸びる。
ヨモギが空を飛ぶ魔物をキャッチ!
ゆっくりと腕が縮んで、そして、僕に捕まえた魔物を見せてくれた。




