ダンジョン地下10階のボス戦
僕と美鈴さんは、バッハの転移門で天空の城にやって来た。
門を抜けると、皆が出迎えてくれる。
うん?
ヨモギがメイド服を着ていた。
「ヨモギちゃん!可愛い!」
美鈴さんが抱き付く。
ヨモギも嬉しそうだ。
「マスター。お待ちしておりました!」
「お~!ちゃんと喋った!」
初めはたどたどしかったヨモギが、ちゃんと喋ってる!
僕がアリアを見ると「ヨモギはとても優秀です!」
「教えた事をすぐに吸収します」
僕はアリアにお礼を言った。
バッハが今日の予定を尋ねてくる。
先日、ダンジョン10階の探索をしたが、目ぼしい物はなかった。
当然、宝箱も見付からず、美鈴さんがとても残念そうだった。
精霊達が何も無いと言っていた。
だから、何も無いんだと思う。
「今日はダンジョン10階のボス戦をしようと思う」
「その後、10階と11階の間にある移転石に触れて、時間があれば11階の探索かな?」
僕がそう言うと、バッハが「承知しました」
「もしよろしければ、ヨモギを連れて行ってもよろしいでしようか?」
「えっ!ヨモギ?」
「はい。決して足手まといにはならないと思います」
「それに、拓哉様もヨモギの戦闘力確認なさった方が良いと思われます」
う~ん。
どうしよう?
僕の中では、ヨモギは癒し枠なんだけど…
でも、バッハの言う通り、ヨモギの戦闘力を確認した方が良いか…皆が居る時の方が、すぐに対応出来るし。
「ヨモギ。僕と一緒に探索に行くか?」
「はい。マスター。マスターと一緒に参ります!」
うん。
ヨモギがそう言うなら、連れて行くか。
「じゃあ一緒に行こう!」
「はい。マスター!」
ヨモギは、やる気満々なので、一緒に連れて行く事にした。
バッハが転移門を開く。
僕達は、門を抜けてダンジョン地下10階に到着した。
10階のボス部屋の前に移動する。
入口は開いていた。
以前、5階のボス部屋に行った時は、他のパーティーがボス戦に挑んでいたから、暫く待たされた。
流石に10階迄やって来るパーティーは少ないのかも知れない。
僕達は、ボス部屋の中に入ると、ボス部屋の入口が閉じる。
僕が先に進み、1段高くなった場所に登ろうとすると、ヨモギが「マスター。私にやらせて下さい」と言ってきた。
僕が後ろを振り返ると、バッハやアリアが、うんうんと頷く。
僕は精霊達を見る。
すると、精霊達もうんうんと頷いた。
「美鈴さん。ここはヨモギにやらせても良いかな?いざとなったら、僕が援護するから」
「うん。分かった!気をつけてね!」
僕は収納袋から、魔剣を取り出した。
まだ、1度も試した事が無かったのを思い出したのだ。
「ヨモギ。行こうか?」
「はい。マスター!」
僕とヨモギが1段高くなった場所に足を踏み入れる。
すると、光の粒子が集まり出す。
粒子が収まると、1体の魔物が立っていた。
お腹が出た、中年のおじさんみたいな体で、頭がブタだった。
ダンジョンマップには、オークと言う名前の魔物だと書いてあった。
これがオークか。
僕がそう思っていると、ヨモギが前に進み出す。
僕も剣を鞘から抜き、ヨモギの後に続く。
ヨモギが魔法を発動させる。
ヨモギの周りに葉っぱが現れた。
そして、その葉っぱが、物凄いスピードでオークに向かって飛んで行き、オークの体に突き刺さる。
ブヒ~!
オークが叫ぶ。
ヨモギの腕が鞭の様に細長くなり、オークに向かって伸びて行く。
そして、オークの首に絡み付き、オークの首に巻き付く。
オークは首に巻き付いたヨモギの腕?を引き剥がそうと踠くが、ヨモギの力の方が強いみたいで、引き剥がす事が出来ない。
そして、オークは光の粒子になって消えた。
「ヨモギちゃん!凄い!」
美鈴さんがヨモギに抱き付く。
僕もヨモギの頭を撫でながら「ヨモギ、良くやったね!」と誉めると、ヨモギは嬉しそうに笑った。
ヨモギは、かなりの戦闘力がある事が分かった。
これなら、よほど強い魔物じゃなければ、心配いらない様だ。
オークが光の粒子になって消えた後には、ドリンク剤みたいた瓶が2本。
バッハがそれを拾い「2本とも中級ポーションです」と言って、異次元空間に仕舞う。
ボス部屋の奥にある扉が開いた。
僕達は、そこを通って10階と11階の間にある移転部屋で、移転石にて手を触れて登録した。




