ドライアドのヨモギ。
僕達は、バッハの転移門で、ダンジョン地下1階の天空の城に戻ってきた。
一瞬で移動出来て、本当に楽になった。
僕と美鈴さんは、天空の城の食堂に向かい、一休みする事にした。
僕達が着席すると、バッハがお茶の準備を始める。
食堂のドアがノックされ、メイドのアリアが入ってくる。
そして、アリアの後ろを小さな女の子が付いてきた。
僕と契約したヨモギだ。
ヨモギは、サンダルを履き、ヒマワリ柄のワンピースを着ている。
アリアが選んでくれたみたいだ。
「ヨモギ。とても似合ってるよ!」
僕が言うと、ヨモギは嬉しそうに笑った。
「アリア。ありがとう」
僕はアリアにお礼を言う。
「転移門でブティックに行き、洋服を選んで参りました」と言って、アリアが頭を下げる。
「ヨモギちゃん!凄く可愛いよ!」
美鈴さんからも褒められて、ヨモギも嬉しそうだ。
「アリガトウゴザイマス…」
「お~!ヨモギ!喋れるの?」
まだ、片言だが、ヨモギが喋った。
「拓哉様。暫く私がヨモギの面倒を見てもよろしいでしようか?」
アリアが面倒を見てくれるなら、僕も助かる。
僕は一人暮らしだから、僕が学校に行くとヨモギが家で一人っきりになってしまう。
かといって、他の精霊達と違い、普通の人達にも姿が見えてしまうから、学校に連れて行く分けにも行かないし…
「アリア。ヨモギの事を頼みます」
僕が言うと、アリアが「お任せ下さい。立派なメイドに育ててみせます!」と言う。
どうやら、アリアの心中では、ヨモギがメイドになる事が決定事項らしい。
まあ、アリアに任せておけば安心だろう。
「では、お茶菓子を持って参ります」
そう言ってアリアとヨモギが部屋から出て行った。
バッハがティーカップにお茶を入れてくれる。
すると、アリアとヨモギが部屋に戻ってくる。
ヨモギはエプロンを着けている。
「ヨモギちゃん!可愛い~!」
美鈴さんが言うと、ヨモギは恥ずかしそうだった。
お盆の上には、パンケーキが載っていた。
アリアが美鈴さんに、ヨモギが僕のテーブルの上にパンケーキを置いて、蜂蜜をたっぷりと掛けてくれる。
そう言えば、先日の探索で蜂蜜がドロップした。
あの時の蜂蜜かな?
僕達は、お茶を飲みながらパンケーキを食べる。
うん。
ふわふわで、とても美味しい。
僕は、パンケーキを食べながら、ふと頭の中に疑問が湧いた。
「ヨモギは何を食べるだろう?」
精霊達は魔素を吸うから食事は必要ない。
ヨモギはどうなんだ?
すると、バッハが「ダンジョン内では精霊と同様に魔素を吸うので、食事は必要ありません」
「ただ、地上では魔素が薄く、必要なエネルギーを補う必要がある様です」
「具体的には、どんな風に?」
僕が聞くと、バッハが答える。
「足を地面に付けて養分を吸い取り、このグリーンの髪を日の光に当てて、自ら魔力を産み出します」
「なるほど…植物と同じ様に光合成をするのか…」
精霊と植物の良いとこ取りだな。
それと、最低限の自衛手段があるから、それほど心配はいらないとバッハから言われた。
ヨモギの魔獣登録は、アリアがヨモギを連れて支店長のところへ行き、済ませておいてくれるそうだ。
それと、今回の探索の報告は、バッハがしておいてくれる事になった。
アリアは途中でヨモギを連れて、先に天空の城へ戻ったから、あの鍾乳洞みたいな場所に行っていない。
だから転移門を開けないからだ。
最近は、バッハ達がすべてやってくれるから、支店長に会ってないなぁ~
そんな事を思いながら、僕達は転移門で家に帰った。




