ダンジョン地下8階の探索をする⑤
バッハの移転門で黒蜜が居る広い場所に戻ってきた僕達は、最後に残った右側の通路を進んだ。
通路を進むが、どうやら罠は無いみたいだ。
通路の幅が広くなる。
通路の左右が1段高くなっている場所に出る。
そして、1段高くなっている場所には、蛙の石像が設置してある。
左右に6匹づつ。
これは、このまま通路を進むと、蛙の石像が攻撃してくるパターンだな。
うむ…ここはダリアに倒して貰うか?
ダリアだけ、まだ、下位設置だ。
少しでも経験値を稼いで貰おう!
「ダリア!蛙の石像が動き出したら、攻撃してくれる?」僕が聞くと、ダリアがうんうんと頷く。
「美鈴さん達は、ここで待っててね!」
「うん。分かった!」
美鈴さんがそう言ってくれた。
「もし、ダリアが倒し切れなかったら、みんなも力を貸してね!」
僕がそう言うと、他の精霊達もうんうんと頷く。
「よし!行くか!」
僕は通路を進む。
すると予想通りに蛙の石像の表面を覆っていた石が剥がれ落ちる。
蛙の魔物は黒色で、所々、赤いマークが入っていた。
美鈴さんが「毒蛙だよ!気を付けてね!」と言う。
蛙の魔物の体から黒い液体が出てきて、その液体が体を包む。
多分、あの黒い液体が毒だな。
何だかキモい。
まあ、触れなければ問題ない。
僕は頷いて「ダリア!攻撃開始!」と言うと、ダリアの火魔法が発動した。
ゴ~!炎が吹き出す。
まるで、火炎放射器みたいだ。
ダリアが放つ炎が蛙の魔物を焼き払う。
炎が収まると、魔石と栄養ドリンク剤みたいた瓶が残った。
何か?ドロップした様だ。
美鈴さん達が歩いてくる。
そして美鈴さんが、ドリンク剤の様な瓶を手に取り鑑定をする。
「拓哉さん。この瓶は毒消しだって」
光精霊のフリージアは、光魔法で毒を消せるし、白玉も光魔法が使える。
どうしようか?
取り敢えず、保管するか?探索者協会に売却するか?後で考える事にして、毒消しはバッハに保管して貰う事にした。
毒蛙が居なくなったので、僕達は通路を進む。
暫く進むと、ボス部屋に辿り着いた。
僕と美鈴さんは、手を繋いで1段高くなっている部分に足を踏み入れた。
光の粒子が集まり出す。
光が収まると、そこには大きなカマキリの魔物がいた。
両手の鎌を持ち上げ、まるでファイティングポーズをとっているみたいだった。
騎士達が走り出す。
1体が右手の鎌を。
もう1体が左手の鎌を。
魔物の鎌の攻撃を剣で防ぐ。
その間にブーニンがカマキリの魔物の懐に入り込み、剣を突き刺した。
カマキリの魔物は、暫く暴れていたが、やがて力尽き、光の粒子になって消えた。
訓練しているからか?騎士達の連携もバッチリだ!
カマキリの魔物を討伐すると、ボス部屋の中心部分に光が集まり出す。
そして光が収まると、そこに宝箱が現れる。
僕が美鈴さんを見ると、美鈴さんが満面の笑みを浮かべる。
うん。
美鈴さんは、何時も可愛い。
それに、美鈴さんが嬉しそうで何よりだ。
美鈴さんと手を繋いで、宝箱の前に移動する。
アネモネが、うんうんと頷く。
罠は無いみたいだ。
「美鈴!罠は無いから、開けても大丈夫だよ!」
「うん。分かった!」
そう言って、僕と繋いだ手を放し、美鈴さんが宝箱を開けた。
宝箱の中には魔法の杖が入っていた。
美鈴さんが宝箱の中から杖を取り出し、鑑定を始める。
「拓哉さん!Sランクの魔法の杖だよ!」と美鈴さんが言う。
「すべての系統の魔法の威力を5%UP!させるんだって!」
それを聞いたバッハが「この杖は、美鈴様がお使いになったらいかがですか?」
「女神のJOBを習得なさった時に、魔法のスキルを得たはずです」
「1度手放すと戻って来ないと思います。ですから手放さず、美鈴様がお持ちになると良いと思います」
うん。
僕もバッハの意見に賛成だ。
僕とバッハの勧めもあり、この魔法の杖は、売らずに美鈴さんの収納袋に入れて保管し、何時でも美鈴さんが使える状態にする事になった。




