ダンジョン地下8階の探索をする③
岩が横にスライドしたら、地下へ続く階段が現れた。
警戒の為、精霊達が先頭を行く。
その次に僕の護衛騎士のブーニン達。
僕と美鈴さんが手を繋いで歩く。
バッハ達が一番後ろだ。
地下の階段を進んで行くと、広い場所に出た。
とても広い洞窟で、天井も高い。
そして、3方向にトンネルみたいな通路がある。
その通路は、高さが2mくらいの高さだから無理だけど、この広い場所なら黒蜜を召喚しても大丈夫そうだ。
「美鈴さん。この広い場所に黒蜜を召喚して、警戒して貰おうよ」
「うん。分かった!」
美鈴さんが黒蜜を召喚した。
「黒蜜ちゃん。私達は洞窟の中を探索してくるから、黒蜜ちゃんは、ここで警戒しててね!」
美鈴さんが言うと、精霊が頷く。
「それじゃあ、行こうか!」
僕達は左側の洞窟から探索する事にした。
先程と同様に、精霊を先頭に進む。
途中で何ヵ所か罠があった。
支店長達の真似をして、罠の場所にスプレーで目印を付ける。
暫く進むと、広い場所に辿り着いた。
円形状の少しだけ高くなっている場所の前に立つ。
これはボス部屋に似ている。
「美鈴さん。ボス部屋に似ているね」
「うん。多分、ここにのったらボスが召喚されてくると思う」
僕達は、手を繋いだまま少しだけ高くなっている台の上に登った。
すると光の粒子が集まり出す。
光が収まると、そこには蜂がいた。
仔犬位の大きな蜂だ。
枝切り鋏みたいな鋭くて大きな口に、お尻の部分には、太くて鋭い針が見える。
それが7体。
空に浮いている。
一番後ろにいる蜂が、多分ボスだ。
空で動きまわられると倒すのが面倒そうだ。
僕がそう思っていると、精霊達に攻撃の指示を出す前に、騎士達が凄いスピードで飛び出す。
そして剣を振るい、一瞬で蜂の魔物を倒してしまう。
そして、僕の方を振り向き、片膝を付いて、頭を下げた。
「拓哉様。騎士達に言葉を掛けて上げて下さい。彼等は主人を守る事が、彼等の願いなのです」
バッハが言う。
僕は騎士達に「ありがとう!」と声を掛けた。
蜂の魔物が光の粒子になって消えた後、床の上には魔石と蜂蜜?
僕は近付いて目を凝らす。
うん。
やはり蜂蜜だ。
しかも瓶に入っていて、蜂のイラストが書かれたシールが貼ってある。
蜂の魔物を倒したら、蜂蜜がドロップした。
どう言う仕組み何だろう?
ダンジョンは不思議がいっぱいだ。
美鈴さんが蜂蜜を拾い、そして「チャイコフスキーに渡しても良い?」と聞いてきた。
「うん。そうしよう!」僕が答える。
チャイコフスキーはコックさんだから、きっと活用してくれるだろう。
暫くすると、円形状の舞台の中心付近に光が集まり出す。
そして、光が収まると、そこに宝箱が現れた。
「拓哉さん!宝箱だよ!」
うん!
美鈴さんが嬉しそうで何よりだ。
バッハが宝箱に近付く。
暫く宝箱を見ていたバッハが「美鈴様。罠は無い様です」と言う。
バッハも罠を感知するスキルを持っているみたいだ。
美鈴さんと一緒に宝箱の前に進む。
そして、美鈴さんが宝箱を開けた。
中にはスクロールが入っていた。
美鈴さんが宝箱から取り出し、鑑定を始める。
「危険察知のスクロールだよ!」
「危険察知か…でも、僕達には必要ない気がする。精霊やスノーに白玉。バッハ達に騎士達もいるし…」
「だったら、瑞穂ちゃんは?」
「瑞穂?瑞穂は弓使いのJOBだ。矢を放つ時、動きを止めないと矢が放てない。確かにその時が一番危険かも知れない」
「それなら、このスクロールは瑞穂ちゃんに使って貰おうね!」
「うん。分かった!」
スクロールは、美鈴さんがバッハから貰ったウエストポーチ型の収納ボックスにしまった。
「さて、来た道を戻ろうか」
僕が言うと、バッハが「では、転移門を開きます」と言い、何も無い空間に門が現れる。
そうだった。
バッハ達は、1度行った場所なら転移門で繋げられるんだった。
本当に便利だ。
無駄な時間が減って、探索が捗る。
僕達は転移門を通り、黒蜜の待つ広い場所へ一瞬で戻った。




