ダンジョン地下8階の探索をする②
よし!
以前と違い、人数が揃っている。
ここは安全の為、ワニの魔物を殲滅しよう。
「美鈴さん。安全に宝箱をゲットする為に、ワニの魔物を殲滅しようと思うけど、どうかな?」
「うん。分かった!」
「黒蜜ちゃん!ブレスで攻撃!」
美鈴さんが言うと、黒蜜が上昇する。
宝箱は、精霊の魔法でも壊れなかった。
だから、大丈夫だろう。
上昇した黒蜜が湖に向かってブレスを吐く。
ゴォー!
黒蜜がブレスを吐く前に、白玉が結界を張ってくれる。
流石!白玉!空気が読める子。
後で、いっぱいモフろう!
僕は心に誓う。
黒蜜のブレスで湖の水が干上がる。
島に居たワニの魔物は倒せたが、水の中にいた魔物は、倒し切れなかった。
水が無くなった湖の底は、粘土質のようだ。
足を取られて身動きがとれなくなりそう。
ここは、魔法攻撃一択だな。
「みんな!魔法でワニの魔物を攻撃!」
僕が言うと、精霊やバッハ達が一斉に魔法で攻撃を開始する。
ブーニン達も剣に魔力を通し、剣を振る。
すると剣から魔法の斬撃が、ワニの魔物めがけて飛んで行く。
ほんの数分でワニの魔物を全滅させてしまった。
…明らかに過剰戦力だ。
でも、みんな僕や美鈴さんの役に立てて喜んでいる。
余計な事を言って水を差すのは良くない。
ワニの魔物を倒すと、魔石以外に革がドロップしていた。
ワニ革だ。
僕はアンバーに「島までの橋を掛けて!」と言うと、アンバーが橋を掛けてくれる。
それから「魔石の回収もお願い!」
すると、アンバーが土魔法を発動させて、魔石とワニ革を1ヵ所に集めてくれた。
バッハが「私が保管致致します。美鈴様は、宝箱へ向かって下さい」と言った。
僕と美鈴さんは橋を渡り、宝箱の前にやってきた。
アネモネに罠が無いか?調べて貰う。
アネモネが、うんうんと頷く。
「美鈴さん。罠は無いから、宝箱を開けても大丈夫だよ!」
「うん!分かった!」
美鈴さんが宝箱を開ける。
宝箱の中からは、ボクシングとかで使うグローブが出てきた。
美鈴さんが鑑定する。
「これは、Cランクのグローブで、魔力を込めると攻撃力が1.2倍になるみたい」
「それから、サイズ自動調整とクリーンが付与されてる」
「このグローブは、お兄ちゃんにあげても良いかな?」
もちろんだ。
健太さんには、何時もお世話になってる。
それに、健太さんは格闘系のJOBだ。
健太さんとの相性も抜群に良いと思う。
「うん。賛成!健太さんにプレゼントしよう!」
僕が言うと、美鈴さんは嬉しそうに笑った。
グローブと魔石の回収も終わり、僕は精霊達に「まだ、何かある?」と聞くと、精霊達はうんうんと頷く。
「美鈴さん。まだ他にあるみたいだから、行ってみようか?」
「うん!」
僕達は再び黒蜜の背中に乗る。
黒蜜が上昇し、精霊達の後を付いて飛ぶ。
暫く飛んで行くと、空中で停止して、地面を指差す。
サバンナの中にある、僅かな草原地帯みたいな場所だった。
巨大な牛がいっぱいだ。
頭に大きな角が見える。
「あれは、魔牛ですな」バッハが言う。
「非常に気性が荒い牛です」
「肉はとても美味く、高級食材です」
そうなんだ。
ドロップしたら、ラッキーだな。
取り敢えず、魔牛を倒さないと、何も始まらない。
僕達は、ブーニン達が到着するのを上空で待つ。
暫くすると、ブーニン達が近付いて来るのが見えた。
美鈴さんが「黒蜜ちゃん!ブレスで攻撃!」と言うと、黒蜜が上空から魔牛に向けてブレスを放つ。
ゴ~!
辺り一面が炎に包まれる。
ブレスが収まると、地面に沢山の魔石が落ちているのが見えた。
それと肉だ。
大きな塊が3個見えた。
1度のブレスで魔牛を全滅させるなんて!凄い攻撃力だ!
魔牛が居なくなったのを確認して、黒蜜がゆっくりと地面に降りた。
魔石と魔牛の肉も、バッハが収納してくれる。
僕達が地面に降りると、精霊達が岩を指差す。
地面から1m位の岩が出ていた。
それを見ていたブーニンが岩を押すと、岩が横にスライドする。
バッハ達だけじゃなくて、騎士達も精霊が見えていたんだ!
僕は始めて、その時事を知った。
「騎士達も精霊が見えていたんだね!」美鈴さんが言う。
…どう言う事だ?
まるで美鈴さんも精霊が見えているみたいな口振りだ。
「ひょっとして、美鈴さんも精霊が見えてるの?」
「うん。女神のJOBを授かった時に、見える様になったんだ!」
そうだったのか。
美鈴さんも精霊が見える様になってたなんて、始めて知ったのだった。




