ダンジョン地下8階の探索をする①
「あの~バッハさん達は、8階の探索を終わらせたんですか?」僕がバッハに質問する。
「いいえ。私どもが美鈴様、拓哉様の楽しみを奪う訳には参りません」
「我々は、探索等はしておりませんので、ご安心下さい」
「我々は、美鈴様の後を付いて参りますので、お好きな場所を探索なさって下さい」バッハがそう言って頭を下げた。
「それなら、何時も通りにしようと思うけど…良いかな?」僕が美鈴さんに聞く。
「私は拓哉さんの後を付いて行くだけだから、拓哉さんが行きたい場所に行って良いよ!」
美鈴さんの許可が出たから、何時も通りに探索する事にした。
僕が精霊達に調査を頼むと、精霊達が一斉に飛んで行く。
その間にダンジョンマップを広げて、地理を確認する。
「これは…」
「拓哉さん。どうしたの?」
「ここを見て!池の中に小さな島があって、まだ、開けられていない宝箱があるみたいだよ!」
「宝箱!拓哉さん、宝箱を開けに行こう!」
美鈴さんが嬉しそうで、何よりだ。
「でも、見て。沢山の巨大なワニの魔物が宝箱を守ってるみたい。注意書きがされている」
「うむ…いざとなったら、黒蜜ちゃんを召喚して、ブレスで焼き払って貰おう!」
美鈴さんが、ヤル気になって何よりだ。
そんな話をしていると、精霊達が戻り始める。
空の上で精霊達が集合して、何やら打ち合わせ中だ。
そして、打ち合わせが終わったみたいで、精霊達が一斉に同じ方向を指差す。
「美鈴さん。精霊達が案内してくれるから、そろそろ行こう!」
「うん。分かった!早く宝箱をゲットしよう!」
美鈴さんが、ノリノリだ。
僕が精霊達を見ると、空を飛べとジェスチャーしている。
目的地は、ここから少し離れている様だ。
「美鈴さん。ここから少し離れているから、空を飛べって精霊が言ってる」
「分かった!では、黒蜜ちゃんを召喚します!」
そう言って、美鈴さんが黒蜜を召喚した。
僕が先頭で、美鈴さんが後ろ。
スノーは、僕と美鈴さんの間に座る。
白玉は、美鈴さんが持つバッグの中だ。
黒蜜がゆっくりと上昇する。
そして、精霊達の後を付いて行く。
あれ?バッハ達はどうするんだ?
僕が後ろを振り返ると、今回同行している、バッハ・アリア・ドヴォルザークの3人が空を飛んでいる。
僕と目が合ったバッハが「我々は飛行魔法が使えますので、お気遣い無用で御座います」と言った。
僕は下を見る。
すると、ブーニン達が馬に乗って付いてくる。
「あの馬は何だ?何処から現れたんだ?」僕が言うと、美鈴さんも「本当だ。馬に乗ってる!」
それを聞いていたバッハが「馬型ゴーレムを召喚したのでしよう」
そーなんだ。
そんな能力があるなんて知らなかった。
暫く飛んで行くと、大きな湖が現れた。
これは、池と言うレベルじゃない。
湖だ。
水が濁っていて、底が見えない。
そして、湖の真ん中に小さな島があるのが見えた。
黒蜜が湖の近くに着地した。
小さな島の真ん中に辺りが少しだけ高くなってて、そこに宝箱が見える。
「見て!拓哉さん。あそこに宝箱があるよ!」
美鈴さんが宝箱を見つめながら言う。
あの島が、もう少し大きければ、黒蜜が着地出来るのに残念だ。
僕達が到着して、暫く経つと騎士のブーニン達が到着した。
僕と美鈴さんが湖に近付こうとすると、バッハやブーニン達に止められた。
「湖の中にワニの目だけ出ているのが見えますか?」バッハが言う。
良く見ると、確かに目だけが湖の中を動いていた。
「恐らく、あのワニの魔物が宝箱を守っているのでしよう」
「これ以上、湖に近付くとワニの魔物が襲ってくると思います」
良く見ると、宝箱がある小さな島にも数頭のワニが日向ぼっこをしている。
僕がアネモネの風魔法で島まて飛んで、ダッシュで宝箱を開ける方法もあるけど、それじゃあ宝箱を開けるのを楽しみにしている美鈴さんが可哀想だ。
さて…どうするか?




