支店長達と天空の城で。
僕は雲の大地を歩き、城の正門に到着する。
門を守る精霊に挨拶して、中に入って行った。
城内に入り、通路を通って謁見の間に入ると、壁際に魔石が積み上がっていた。
それと、玉座の前に宝箱が…
僕は上位精霊に話を聞く事にする。
すると、ダンジョン裏ボス討伐のアナウンスが流れると同時に、城内の複数の場所に光の粒子が集まり出し、魔物が大量発生したそうだ。
確か…支店長がハーピーって言ってた魔物かな?
そして、また、精霊達と魔物の戦いが始まり、精霊達が魔物を殲滅したそうだ。
ダンジョン裏ボスを倒したのは僕だ。
僕は責任を感じてお詫びを述べると、上位精霊は「精霊達の良い経験値になった」と言い、怒ってはいなかった。
僕は胸を撫で下ろした。
そして裏ボスを倒して、その部屋の魔法陣に入ったら、この城の裏側に移転して来た事を話す。
そして、支店長達も一緒に移転魔法陣で、城の外に来ている事を話すと、風の動きで感知しているから、知っていると言われた。
そこで僕は、支店長達がこの城の調査をしたがっているから、協力を頼めないか?打診した。
普通の人間には精霊が見えない。
過去に、自分達がいるのに、勝手な振る舞いをする人間達をたくさん見てきた。
だから、人間の事をあまり信用していないそうだ。
僕は支店長から人間に通達させるから、中に入れて欲しいとお願いする。
すると、僕が一緒なら入城を許可する。
しかし、妖精達に危害を加えたら、容赦しないと言った。
僕は、支店長達に話し、徹底させると上位精霊に約束した。
僕が城の入口まで戻ると、美鈴さんと支店長達が待っていた。
「支店長、精霊の許可を取りました!但し、妖精に危害を加えたら場合は攻撃すると言っています」
「だから、くれぐれも勝手な事はしないで下さいね!」僕が言う。
「分かった!拓哉の指示に従う。お前達も分かったな。拓哉に迷惑が掛かるから、勝手な事はするなよ!」支店長が職員さん達に言った。
「はい。分かりました!」
そして支店長が「外からの撮影は終わっている。後は城内の撮影がしたい」
「1度きちんと調査して、証拠の映像を残しておけば、本部も何も言ってこないと思う」
「報告書も書けるし、探索者達に通達する事も約束するから安心しろ」と支店長は言った。
話を聞いていた美鈴さんが「中にはいりましょう!」と言い、みんなで城内に入る事にした。
職員さん達が撮影を再開する。
美鈴さんが「撮影が終わったら、ゆっくり座って一休みしましょう!」と提案する。
「うん。そうしよう!」僕が答える。
城内の通路を通り、謁見の間に入る。
部屋の隅に積み上がっていた魔石は、後で僕の部屋で保管すると支店長に話すと「分かった。俺が背負っているリュックサックに入れておく」と言って、リュックサックにしまってくれる。
僕が美鈴さんを見ると、美鈴さんの視線の先には宝箱が…
僕は「アネモネ!宝箱に罠が無いか調べてくれる?」と言うと、アネモネがうんうんと頷き宝箱に向かって飛んで行く。
宝箱を調べていたアネモネが、うんうんと頷く。
「美鈴さん。罠が無いから開けて大丈夫だよ!」僕が言うと、美鈴さんが笑顔になった。
美鈴さんが宝箱の前で立ち止まる。
右手で宝箱を開けようとしたタイミングで「ちょっと待って下さい!」職員さんが言い、カメラを持ったまま美鈴さんに近づく。
宝箱を開ける所を撮影したかったみたいだ。
改めて、美鈴さんが右手で宝箱を開けた。
そして、右手を宝箱の中に入れる。
美鈴さんがゆっくりと中身を取り出す。
黒い箱だった。
美鈴さんが箱を開けると、中身は包丁セットだった。
何故?セットなのかと言うと、形の違う包丁が、数種類入っているのが見えたからだ。
美鈴さんが包丁を眺めている。
多分、鑑定をしているに違いない。
美鈴さんが振り返り、僕を見る。
そして「Cランク相当の包丁セットだったよ!」
「魔力を込めると、一流料理人並みの包丁捌きが出来るんだって!」
「だから、拓哉さんのお母さんにプレゼントしようね!」と言った。
…僕の母は、本当に古民家食堂を開くのだろうか?