ダンジョン地下7階の探索を続ける。
僕達は、火の上位精霊に挨拶をしてから城を出た。
僕は庭で立ち止まり、精霊達に「まだ、何かある?」と聞くと、精霊達がうんうんと言う。
「まだ、何かあるみたいなので、探索を続けます!」と言うと、支店長が「まだあるのか?」と聞いてくる。
だから僕は「はい!精霊達がまだ何かあるって言ってます」と答える。
すると支店長が「分かった」と言う。
美鈴さん達が再び黒蜜の背中に乗る。
アネモネの風魔法が発動して、僕の体がゆっくりと上昇する。
今度は土精霊のアンバーが、土魔法を発動させて、砂嵐の中にトンネルが出来る。
僕達はトンネルを抜けた。
そして精霊達を先頭にして、空の上を進む。
砂の上に僕達の影が映る。
暫く進むと、渓谷にたどり着いた。
木が1本も生えていない。
砂の川が流れていた。
砂の川に沿って下流に進むと、砂が地面に吸い込まれている場所についた。
ゴ~!と凄い音がする。
まるで砂の滝みたいだった。
アンバーが土魔法を発動させる。
すると地面に吸い込まれている砂の間に隙間が出来る。
僕達は、その隙間を抜けて、地面の下に向かってゆっくりと降りて行った。
中は巨大な縦穴になっていた。
流れ落ちる砂の滝を避けて、洞窟の壁ギリギリを降りる。
僕は下を見る。
真っ暗で何も見えなかった。
谷の底はどうなっているのかな?
僕がそんな事を考えていると、僕の体が空中で止まる。
僕が前を見ると横穴があった。
僕の体が横穴の中に入って、ゆっくり地面に着地する。
僕は後ろを振り返る。
穴が狭くて黒蜜は中に入れない。
黒蜜は空中で停止して、頭だけを穴の中に入れた。
美鈴さん達は、黒蜜の頭の上を通って穴の中に入る。
全員が穴の中に入ったのを確認した僕は、先頭を歩いて行く。
「長い洞窟だな~」支店長が言う。
暫く進むと、地面が石畳になる。
そして道の左右が50cm位高くなっていて、その高くなった場所に石像が並んでいた。
石像の顔はワニに似ている。
そして甲冑を身に付けていている。
右手に槍。
左手に盾を持っていた。
「リザードマンの石像だ」支店長が言った。
ワニみたいな顔をした魔物は、リザードマンと言うらしい。
僕は道の先を見ると、円形で1段高くなっている場所が見える。
「支店長!ボス部屋に似てませんか?」僕が聞くと「ああ。間違いなくボス部屋だ」支店長が言う。
そして「そこの石畳に足を踏み入れると、左右の石像が動き出して、攻撃してくると思うぞ!」と言った。
僕もそんな予感がしていた。
「じゃあ、僕が倒してくるので、ここで待っていてくれませんか?」僕が聞くと、支店長が「ああ、分かった。気を付けるんだぞ!」と言った。
僕は精霊達を見ると、精霊達もやる気満々みたいだった。
僕が1歩を踏み出そうとしたら、美鈴さんが僕の左手を握る。
「私達は、何時も一緒だよ!」そう言って笑った。
そして後ろを振り返り、支店長に「もしもの時は、黒蜜に乗って戻って下さい」そう言った。
「何を言ってる!ちゃんと生きて戻ってこい!良いな!」
美鈴さんが支店長に怒られるのは、初めてじゃないか?
「はい。分かりました!」美鈴さんが返事をする。
「じゃあ、行こうか!」僕達は石畳に足を踏み入れる。
すると…ゴゴ~と石像を覆っていた、石が剥がれ落ちる。
石のコーティングをしてたのか?
次の瞬間、左右のリザードマンが動き出す。
精霊達が攻撃を開始する。
しかし、なかなか倒せない。
美鈴さんが「あの鎧や兜はミスリル製だよ!」と言った。
石が剥がれ落ちたら、キラキラした盾や槍になった。
ミスリルか…
確か…探索者カードの説明の時に、支店長が魔法と物理攻撃に強いと言っていたのを思い出す。
精霊達は、鎧の隙間を狙う攻撃に切り替える。
しかし、肌に付いている鱗が邪魔で、なかなか倒せない。
僕が「魔石ってある?」と美鈴さんに聞く。
魔物だから、魔石があるハズだ。
美鈴さんが「人間と同じ左胸!」と言う。
その瞬間、1体の魔物が精霊達の隙間を抜けて、凄いスピードで僕達の方に突進してきた。
スノーが大型化する。
ドッカーン!
次の瞬間、魔物が見えない壁にぶつかり、地面に転んだ。
僕が美鈴さんの方を見ると、美鈴さんが持つバックから白玉を顔を出していた。
白玉が結界を張ったみたいだ。
グッドタイミング!
流石!白玉!
僕はズボンのポケットから財布を取り出した。
そして中から小銭を出して手の平に置く。
そしてスキルを発動させた。
「チェンジ!」
僕の手の平に魔石が載る。
そして、魔物が光の粒子になって消えた。
チャリン。
今まで魔物がいた場所の床に小銭が落ちる。
「チェンジ!」「チェンジ!」僕はチェンジの魔法を発動させて、魔物をすべて倒した。
アンバーが土魔法を発動させて、地面に落ちた小銭を1ヵ所に集めてくれた。