火の精霊。
僕は火の上位精霊に話を聞く事にする。
火の上位精霊によると、やはり妖精達が安全に暮らせる場所が欲しくて、元々この砂の城にいた魔物を殲滅しらそうだ。
そして、部屋の隅に山積みになっている魔石は不要だから、くれると言った。
それから、何時もと同様に玉座の前にある宝箱が邪魔だと言う。
炎魔法で宝箱を灰にしようとしたが、無理だったそうだ。
そこで僕は「宝箱を開けて中身を取り出すと、宝箱が光の粒子になって消える」と話す。
すると火の上位精霊が、是非やって欲しいと言う。
僕はアネモネに罠が無いか?調べて貰う。
宝箱を調べていたアネモネが、うんうんと頷く。
僕は宝箱が大好きな美鈴さんに「罠は無いから宝箱を開けても大丈夫だよ」と言うと、美鈴さんが宝箱の前に向かって歩いて行った。
ウキウキしながら美鈴さんが宝箱を開ける。
すると中身は剣だった。
美鈴さんが宝箱の中から剣を取り出そうとする。
かなり重い剣だったみたいで、美鈴さんの力では、持ち上がらない。
美鈴さんが「重くて持てない。拓哉さんお願い!」と言う。
そこで美鈴さんに代わって僕が剣を持つ。
すると宝箱が光の粒子になって消えた。
うん?
軽いぞ?ほとんど重さを感じない。
何故だ?
僕が持つ剣を美鈴さんが鑑定する。
「この剣は、偽装が施されてる」
「看破!」美鈴さんが看破のスキルを発動させる。
そして美鈴さんが「拓哉さん!この剣は聖剣だよ!勇者しか持てないんだって」と言う。
「この剣の名前はフラガラッハ。風を操り真実を解き明かす力があるみたい」
それを聞いた支店長達がやってくる。
「拓哉。ちょっと持たせてくれないか?」
「はい。良いですよ!」
僕が支店長に剣を渡すと、支店長がふらつき剣を床に落とす。
「すまん。拓哉」そして支店長が床から剣を持ち上げようとするが、持ち上がらない。
「お前達。手を貸してくれ!」支店長が言うと、録画していた職員さん以外の2名が近づく。
そして3人で力を合わせて剣を持ち上げようとしたが…無理だった。
やはり、美鈴さんが言った通り、勇者JOBを持つ人しか、扱えないみたいだ。
支店長達は持ち上げるのを断念した。
うむ…この剣をどうやって持ち帰れば良いんだ?
僕の巾着袋には土精霊の装備一式が入っていて、もうこれ以上は入らない。
かと言って、刃がむき出しのままでは危険だ。
困った。
どうしよう?
僕が困ったいると支店長が「拓哉。この中に入らないか?」と言って、背負っていたリュックサックを床に置いた。
僕は剣先をリュックサックの中にゆっくり差し込む。
どうやら、無事に入りそうだ。
聖剣フラガラッハをリュックサックに仕舞う事に成功して、僕は溜め息をついた。
さて、次は精霊だ。
僕が火の上位精霊に「火の妖精か精霊と契約したいんだけど、駄目かな?」と聞くと、妖精や精霊が自主的に契約に応じるなら問題ないとの返答を貰う。
そこで僕は「僕と契約してくれる子は、いないかな?」
僕が言うと、さっき城内を案内してくれた火の下位精霊が僕の前に飛んできた。
そして僕の目の前で停止する。
どうやら、この子は僕と契約する意志があるみたいだ。
僕は「君の名前はダリアだよ!」と言う。
《火の下位精霊ダリアとの契約が成立しました》
頭の中に機械的な声が響く。
「やった!火の妖精との契約に成功した!」
僕が言うと、美鈴さんが「拓哉!良かったね!」と言って笑った。
その後、火の上位精霊から、使っていない部屋は自由に使って良いと言われた僕達は、城の最上階へ階段を登る。
天空の城と同様に、僕が王様?美鈴さんが女王様?の部屋を使う事にする。
窓から外を見ると、地面には所狭しと蟻地獄が見える。
そして遠くには砂嵐。
砂が動く壁の様になって、来るものを拒んでいる様だ。
あまり景色は良くなかった。
ただ、城の真上には青空が見えて、天気が良い。
支店長達は、女性の部屋に入るのは良くないと言って、僕の部屋に入り、部屋の中や外の景色を録画していた。
「多分、2度と来れないからな~」支店長が言う。
支店長達は、空を飛べないとこの砂の城に来るのは困難だから、部屋はいらないそうだ。
僕は隣の部屋に美鈴さんを呼びに行き、僕の部屋に全員集まる。
そして皆で昼食を食べた。




