砂の城を発見する。
装備一式を収納した僕は、精霊達に「まだ何かある?」と聞く。
すると精霊達が、うんうんと頷く。
僕は支店長に「まだ何か?あるみたいだから、僕達は探索してきて良いですか?」と聞く。
「そうか…なら、俺達も連れていってくれ」支店長が言う。
「お前達から報告を受けて、それを確認する為に調査して、調査が終わったら報告書を作成して…凄く時間も手間もかかる」
「だったら、お前達と一緒に行って、実際に自分の目で見た方が早い」
「それに今日は、調査をする職員も一緒だ」
「だから、まだ何かあるのなら、一緒に連れて行って欲しい」
僕が美鈴を見ると、美鈴さんと目があう。
「良いですよ!ねえ、拓哉さん!」
美鈴さんが良いなら問題ない。
「じゃあ一緒に行きましょう!」僕が答える。
「すまない、感謝する」と支店長が言うと、職員さん達も頭を下げる。
「じゃあ、行きましょう!」僕の掛け声でみんなが動き出す。
美鈴さんが黒蜜の背中に乗る。
支店長や職員さん達も、美鈴の後ろから黒蜜の背中に乗る。
美鈴さんが「黒蜜ちゃん、お願いね!」と言うと、黒蜜がゆっくりと上昇して行く。
僕もアネモネの風魔法で空に登って行った。
精霊達の後を飛んで行く。
暫く飛んで行くと、前方が砂で霞んでいて良く見えない。
アネモネが風魔法を発動させる。
砂嵐の一部に穴が空いた。
砂嵐の中にトンネルが出来た感じだ。
そして僕達は風のトンネルを抜けた。
砂嵐の壁が出来ていて、中を隠し、そして中に入るのを拒んでいる様だ。
下を見ると、いくつもの蟻地獄が見える。
そして、その先にはお城が見えた。
あの蟻地獄は、城を守る堀の代わりかな?
「見ろ!蟻地獄が沢山あるぞ!」
「おい!あそこを見ろ!城だ!」
職員さん達がうるさい。
凄く興奮している様だ。
僕達は城の壁を越えて、庭に降りた。
支店長がドローンを操作している職員さんに「ちゃんと撮影出来てるか?」と聞くと「多分、大丈夫です」と答えた。
ここからは歩きだ。
庭を抜けて、城の入口に到着する。
すると、そこには入口を守る火の中位精霊がいた。
これは…間違いなく、アレだな。
僕が入口の手前で立ち止まったから「どうした?拓哉?」と支店長が聞いてくる。
僕が「火の精霊が入口を守っています!」と言うと、支店長が「アレか?」と言い、美鈴さんが「アレだね!」と言う。
訳が分からない職員さんが「アレって何ですか?」と聞いてくる。
「多分…元々この城にいた魔物を火の精霊が倒して、城を占領したんだと思います」
「何で占領するんですか?」
「火の妖精を保護する為です。妖精が進化して精霊になるんです」
「だから、精霊が妖精達を守る場所が欲しくて、魔物を討伐し、この城を占領したんです」
支店長が「お前達、くれぐれも勝手な事をするなよ!俺達には妖精も精霊も見えない。だから、攻撃されたら一溜りもないからな!」
「はい!分かりました!」
話がついたので、僕は入口を守る火の中位精霊に話し掛ける。
「中に入りたいんだけど、良いかな?」
すると、火の精霊が首を横に振る。
どうやら、ダメみたいだな。
僕が残念に思っていると、アネモネとアンバーが火の精霊のところに飛んで行く。
3体で何か話をしているみたいだ。
暫く様子を見ていると、火の精霊が、うんうんと頷く。
そしてアネモネが入口の扉の隙間から、中に入って行った。
「どうだ?拓哉?」支店長が聞いてくる。
僕は「風の精霊アネモネが、許可を取りに中に入って行きました。アネモネが帰ってくるまで待っていて下さい」と言う。
入口で待っていると、アネモネが帰ってきた。
火の下位精霊も一緒だった。
火の下位精霊が、入口を守る火の中位精霊に何か話しているみたいだ。
話を聞いた火の中位精霊が、僕に向かって、うんうんと頷く。
どうやら入城許可が出たらしい。
「精霊の許可が出たので、中に入ります。くれぐれも勝手な事をしないで下さいね!」
僕は扉を開けて城内に入る。
僕は火の下位精霊の後を付いて行く。
僕の後ろを美鈴さんや支店長達が続く。
暫く通路を歩くと、大きな扉の前にたどり着く。
アネモネが風魔法で扉を開けてくれた。
中はとても広い空間になっている。
そして赤色の玉が浮いている。
あれが火の妖精か。
部屋の奥に1段高くなっている場所がある。
そこにある、玉座に座る火の上位精霊の前へ進む。
部屋の隅を見ると魔石が山積みになっている。
そして玉座の手前に宝箱が1つある。
うん。
何時ものパターンだ。




