勇者!?
再びルピナスの水魔法で雨を降らせてもらった。
黒蜜がゆっくりと下に降りて行く。
そして地面に着地した。
僕も地面に降りて、アンバーに指示を出す。
アンバーの土魔法で巨大なミミズから出てきた物を1ヵ所に集めてもらった。
そして昨日、地面に隠していた武器や防具も地面から出して合流させた。
支店長達は、探索者カードを1ヵ所に集める。
そして背負っていたリュックサックから花や水。
それから、日本酒を出す。
それらを探索者カードの前に置き、線香に火を付ける。
僕達は全員で手を合わせた。
支店長達が背負っているリュックサックは、アイテムボックス?になっているそうだ。
僕と美鈴さんが持っている巾着袋の大容量版らしい。
僕達の巾着袋は、重さ制限があるけど、支店長達のリュックサックは、重量では無く、容積らしい。
あのリュックサック1個で、6畳の部屋位の広さまでの荷物を入れられるそうだ。
探索者カードや武器に防具等をアイテム別に仕舞っていた。
僕が美鈴さんを見ると、視線の先には宝箱が…
僕は、アネモネに宝箱を調べて欲しいとお願いする。
アネモネが宝箱を調べ始める。
アネモネが、うんうんと言っている。
僕が美鈴さんに「宝箱に罠は無いから開けて良いよ!」と言うと、美鈴さんが笑顔になる。
すると支店長が「立ち会いたいから待ってくれ!」と言う。
宝箱に手を触れそうになっていた美鈴さんは、それを聞いて手を止める。
すぐにでも開けたくて、ウズウズしている様だ。
暫くして、遺品をすべて回収した支店長達が宝箱の前にやって来てくる。
「美鈴。もう開けて良いぞ!」と言うと、美鈴さんが笑顔になる。
うん。
相変わらず美鈴さんは可愛い。
美鈴さんは、鑑定スキルを持っているから、いちいちお金を払って、鑑定士さんに見てもらう必要が無いから、おお助かりだ。
美鈴さんが、まず右側の宝箱を開ける。
すると、宝箱の中にスクロールが見える。
美鈴さんが丸まっているスクロールを手に取り、鑑定をする。
鑑定が終わったみたいだ。
美鈴さんが振り返り、僕を見る。
そして「これは拓哉さんが使って!」と言って僕に渡す。
「分かった!」そう言って僕は、スクロールを開く。
魔法陣が見える。
そして頭の中に機械的な声が響く。
《勇者のJOBを取得しました》
《勇者JOB取得に伴い、各種スキルを付与します。剣術・属性魔法…etc》
…僕のJOBは、精霊使いのハズだ!
どうなってるんだ?
僕は精霊達を見る。
うん。
何時も通りに見えている。
1人で2個のJOBを得る事もあるのか?
僕が、あれこれ考えていると支店長が「どうした?拓哉。何か問題でもあったのか?」と聞いてくる。
すると僕の代わりに美鈴さんが「拓哉さんは、勇者のJOBを得たんです!」と答える。
「本当か?拓哉!2つもJOBを得るなんて、凄いじゃないか!!」と言う。
支店長の口振りから推察すると、1人で2つのJOBを持っている人もいるみたいだ。
僕は、ちょっとだけ安心する。
支店長が「精霊使いに勇者か!…もう拓哉は無敵じゃないか?」とか言ってくる。
僕は目立ちたく無いし、それに何だか恥ずかしい。
僕が下を向いていると、美鈴さんが動く気配を感じて、顔を上げる。
美鈴さんは、左側の宝箱に向かって歩いていた。
美鈴さんが左側の宝箱を開ける。
すると今度は、装備一式が入っていた。
美鈴さんが鑑定する。
「拓哉さん!こっちは土精霊の装備が入ってたよ!」
「私達の装備とお揃い!」
「この装備は、瑞穂ちゃんに使ってもらおうね!」そう言って笑った。
うん。
美鈴さんの笑顔は、とても素敵だ!って、違う。
そうじゃない。
瑞穂?あいつは本当に引っ越してくるのか?
まあ、お金に困ってないから、取り敢えず天空の城で保管すれば良いか。
僕は巾着袋に土の装備一式を収納した。




