支店長達を連れて、再びダンジョン地下7階へ行く
天空の城でぐっすり眠った僕達は、テイクアウトした朝食を食べてから、ダンジョン地下1階の移転石に向かう。
支店長と待ち合わせをしているからだ。
ダンジョン内から外部へは電波が届かない。
だから携帯の目覚まし機能だと心配だった僕は、電池式の目覚まし時計をセットしておいた。
暫く待っていると支店長達がやってきた。
支店長と職員さんが3名。
先日と同じメンバーだった。
支店長を先頭に、次々に移転石に触れてダンジョン地下5階と6階の間にある移転部屋へ移転した。
そして地下6階を通過して、地下7階に到着する。
支店長が「右側だったな?」と聞いてくる。
どうやら支店長は、この砂だらけの砂漠地帯を歩いて行くつもりらしい。
そんな事をしたら、疲れてしまう。
砂だらけで、歩き難いし…
僕が美鈴さんを見ると、美鈴さんが頷き黒蜜を召喚する。
初めて黒蜜を見た職員さん達が「ブラックドラゴンだ!」と叫ぶ。
すると支店長が「あのドラゴンは美鈴の召喚獣だ!騒ぐな!」と大声で呼ぶと、職員さん達が大人しくなる。
そして怯えながら、黒蜜を見ている。
黒蜜が大きくなる。
職員さん達が「お~!」と歓声を上げる。
美鈴さんが黒蜜の背中に乗る。
そして振り返りながら「私の後ろに乗って下さい」と言う。
職員さん達は、互いに顔を見合せながら動こうとしない。
そこで支店長が無言で黒蜜の背中の乗って座る。
そして振り返りながら、職員に達に「早く乗れ!」と言うと、職員さん達も恐る恐る背中に乗り、そして座った。
黒蜜がゆっくりと上昇を始める。
すると職員さん達が「お~!」と歓声を上げた。
僕はアネモネに「アネモネお願い!」と言うと、アネモネの風魔法で体がゆっくりと上昇する。
そして精霊達が先頭で、僕がその後ろ。
最後が黒蜜の順番で、ゆっくりと空を飛ぶ。
職員さんが「何で彼は空を飛んでいるんだ?」
「飛行魔法か?」
「いや、飛行魔法を使える人間は確認されていないハズだぞ!」とか、僕の事をいろいろ話していた。
すると支店長が「拓哉は風精霊と契約しているから、精霊の力じゃないか?」と言う。
うん。
流石は支店長!正解です!
僕がそう思っていると、精霊や黒蜜が上空で停止した。
ホバリング状態だ。
そして一斉に下を見る。
何だろう?僕も連れて下を見る。
砂の上には僕の小さな影と、黒蜜の大きな影が映っている。
すると…大音響と共に地面が揺れた。
そして黒蜜の影を食べる様に地面から、あの巨大なミミズが出てきた。
影を獲物だと勘違いしたのかな?
昨日、ルピナスが中位精霊に進化した。
あと残るはアンバーだ。
アンバーだけが下位精霊だから、アンバーに少しでも経験値を与えよう!
僕はアンバーに指示を出す。
「アンバー!空高くに石の槍を作って!そしてその槍で攻撃!」
僕の指示を聞いたアンバーが魔法を発動させる。
上空に石の槍が6本生成されて、そしてその槍が地面に向かって落下する。
「アネモネ!力を貸して上げて!」僕が言うと、アネモネが風魔法を発動させる。
重力とアネモネの風魔法で、アンバーが作り出した石の槍が加速して、地面に刺さる。
ドッカーン!!
もの凄い音がして砂が舞う。
ルピナスが水魔法で雨を降らせる。
砂埃が収まり下を見ると、宝箱が見る。
それと、昨日と同様にキラキラ輝く物が複数。
美鈴さんが「黒蜜ちゃん!宝箱のところに着地して!」と言う。
しかし、黒蜜は上空にとどまったまま、地面には降りず、ゆっくりと時計回りに旋回する。
惜しい…黒蜜が美鈴さんの言う事を聞かない…何故だ?
僕がそう考えながらアンバーを見る。
アンバーが顔を横に振る。
まだ何かあるのか?僕が思っていると、再びドッカーン!と大音響が響き、黒蜜の大きな影の下から巨大なミミズが飛び出した!
なるほど、危険だから黒蜜は地面に着地しなかったのか。
僕が再びアンバーに指示を出す。
上空に石の槍が現れる。
そして地面に向かって落下する。
石の槍は全部で5本だった。
しかし、巨大なミミズ?が、くねくね動くから、5本のうち1本しか命中しなかった。
巨大なミミズが、くねくね動き、命中した槍の傷口から汁が出てくる。
上空から見ていた美鈴さんが「キャー!キモい!」と叫び、黒蜜に「攻撃!」と言う。
すると、黒蜜が口から炎を吐き出す。
辺り一面が炎で包まれた。
それを見ていた支店長達が「お~!凄い火力だ!」と言っているのが聞こえる。
そして僕の頭の中に機械的な声が響く。
《土精霊のアンバーが中位精霊に進化しました》
お~!やった!アンバーも中位精霊に進化したぞ!
これで、僕が契約している精霊がすべて中位精霊になった。
やったね!




