拓哉と美鈴はダンジョン地下6階を探索する②
どうやら僕は「チェンジ」と言うレアスキルを取得したらしい。
チェンジって、どんなスキルだ?
AとBを交換するとかか?
う~ん。
あま、使ってみれば分かるだろう。
僕の体は、アネモネの風魔法で、ゆっくりと下に降りていった。
地面に着くと美鈴さんが「何かあったの?」と聞いてくる。
僕は「宝箱があって、中から丸まった紙が出てきたんだ。それで、その紙に何が書いてあるのか?確認しようと思って紙を広げたら、魔法陣が書いてあって…チェンジって言うスキルを覚えたみたい」そう言う。
すると美鈴さんが「拓哉さんが無事で良かったよ~」と言う。
美鈴さんは、心配してくれていたみたいだ。
なんだか、ちょっと嬉しい。
さあ、戻ろうかな?
僕がそう思っていると、精霊達が、また、今とは違う方向を指差す。
「美鈴さん。精霊達によると、まだ、他に何かあるみたいだけど、どうする?」
「それなら、行ってみよう!」
「分かった。じゃあ、こっちだよ」
僕達は、手を繋いで、精霊の後をついて歩く。
さっきの場所から、けっこう歩いた。
精霊達が巨大な木の前で止まる。
そして、その巨大な木を指差す。
「美鈴さん。目の前の巨大な木に
何か?あるみたい。精霊がそう言ってる」
僕は美鈴さんに状況を説明する。
僕が美鈴への説明が終わったタイミングで、精霊達が巨大な木に向かって飛んで行く。
あ~!ぶつかる!僕がそう思っていると、精霊達は木にぶつかる事なく、吸い込まれる様に、巨大な木の中に入って行った。
僕は、その巨大な木の前に立ち、右手をゆっくりと伸ばす。
僕の右手が木にぶつかる…こともなく素通りする。
…僕と美鈴さんは、互いに顔を向けあい、見つめ合う。
美鈴さんが、僕から視線を外して、木に向かってゆっくりと左手を伸ばす。
やはり、木にぶつかる事なく素通りする。
今度は僕が、ゆっくりと右足を踏み込む。
しかし、なんの抵抗も感じない。
僕は思いきって、そのまま前に進み、体が木の中に入る。
木の中は、人が1人通れる位の大きさのトンネルになっていた。
僕は、ゆっくりと美鈴さんと繋いだ左手を引っ張ると、美鈴さんも中に入ってきた。
「木の中はトンネルになってたんだ!」美鈴さんが言う。
「どうやら、トンネルを隠す為の幻覚だったみたい」僕が言う。
トンネルの幅が狭くて、2人並んで歩けないので、僕が先頭を歩く。
トンネルには、罠は無い。
そのまま階段を降りて行く。
そして、トンネルの突き当りの部屋に辿り着いた。
部屋の広さは、だいたい12畳位かな?
床も壁も天井も、総てが石作りの部屋だった。
そして、その部屋の中央には、1つだけ大きな魔法陣があり、光輝いていた。
「美鈴さん。多分、移転の魔法陣だと思うんだけど、何処に出るか分からない。どうしようか?」僕が聞く。
すると美鈴さんは「行こう!探索だよ!」と言って笑う。
よし、行ってみるか。
美鈴さんは、右手で白玉が入ったバッグを持ち、左手に小型化したスノーを抱える。
僕は、左手を美鈴さんの腰に回すと、精霊達が僕にくっ付く。
そして、僕達は魔法陣の中に入って行った。




