拓哉と美鈴は、ダンジョン地下6階を探索する①
月曜日が祝日だったから、土・日・月の3連休だ。
そこで僕達は、3連休を利用して、ダンジョン地下6階の探索をする事になった。
ダンジョンに入って、地下1階にある移転石に触れて、ダンジョン地下5階と6階を繋ぐトンネルの途中にある、移転石が設置してある小部屋へ一気に移転した。
トンネルを下に向かって進み、ダンジョン地下6階にやってきた。
ダンジョン地下6階は、大森林地帯で、大きな木がたくさん生えている。
ダンジョンマップによると、この階層には、ゴブリンとトレントと言う魔物がいるらしい。
トレントは、木に擬態していて、探索者が近くに来るのを待ち伏せしているそうだ。
そして、トレントを討伐すると、魔石を落とすか、または、木の棒みたいな物をドロップする。
そのドロップした木の棒みたいな物は、高級家具等の材料になり、魔石よりも買取価格が高いそうだ。
健太さん達のパーティーも、よくこの階層で稼いだと言っていた。
そしてダンジョンマップには、探索者が道に迷わない様に、木の幹に矢印を彫ってあり、その矢印の通りに進めば、ダンジョン地下7階に行けると書いてあった。
また、探索者協会がつけた矢印に悪戯する事は禁止されていて、もし、悪戯した事がバレると高額な罰金を払わされる。
僕が契約精霊達に偵察を頼むと、精霊達は四方八方に飛んで行く。
ここには、スノーと白玉がいるから心配いらない。
それに、まだ、1度も使った事がないけど、風の短剣もあるし。
僕達が6階の入口付近で待っていると精霊達が帰ってきた。
そして、空の上で集まり、円陣を組んで、何やら話し合っているみたいだ。
暫くすると、精霊達が僕の目線の高さまで降りてきた。
どうやら、話し合いが終わったらしい。
そして、精霊達が斜め右の方を指差す。
「美鈴さん。あっちの方に何かあるみたいだから、行ってみても良い?」
すると美鈴さんは「分かった。行こうと!」と言って、僕の左側に立ち、2人で手を繋いで精霊達の後をついて行った。
大きな木がたくさんあるから、その木を避けながら、右に行ったり、左に行ったりで、どっちからきたのか分からなくなってしまう。
まあ、精霊達もいるし、スノーもいるから、帰れるだろう。
僕達が歩いて行くと、精霊達が空中で止まる。
そして、フリージアが光魔法を発動する。
レーザー光線みたいな光が木の幹を貫く。
すると、その大きな木は、光の粒子になって消えた。
僕は隣にいる美鈴さんに「いまのが、トレントと言う魔物だったみたい」と言うと、美鈴さんが「まさか、あれが魔物だとは思わなかったよ~」と言った。
本当に見分けが付かない。
でも、攻撃力はそれほど高くなく、僕達が着ている防具なら、ダメージは入らないだろう。
そして、また、精霊達の後をついて歩く。
途中で3体のトレントを倒した。
しかし、トレントのドロップ品は、3体とも魔石だった。
暫く歩くと精霊達が大きな木の手前で止まった。
また、トレントかな?
僕がそう思っていると、風精霊のアネモネが木の上を指差す。
僕が「この木の上に何かあるみたいだから、様子を見てくるね」と言うと、美鈴さんは「分かった。ここで待ってるね」と言った。
僕が合図すると、アネモネの風魔法が発動する。
僕の体がゆっくり上に登って行った。
そして、木の上に到着すると、そこで宝箱を発見した!
罠は無いみたいだ。
僕が宝箱を開けると、中には丸まった紙が入っている。
紙は、表彰状とか卒業証書位の大きさだった。
「何が書いてあるんだ?」僕が丸まった紙を開き、確認すると、赤色で書かれた魔法陣みたいな模様が書いてあった。
すると次の瞬間、頭の中に何かが書き込まれる様な感じがした。
そして《レアスキル チェンジを取得しました》と、機械的な女性の声が頭の中に響き、その紙は光の粒子になって消えていった。




