高杉君は、拓哉の不正を支店長に訴える。
週末になり、僕は探索者協会にやってきた。
受付の人に支店長に会いたいと伝えると「お約束ですか?」と聞いてくる。
当然、僕は約束なんてしていない。
情報が漏れて、白石の不正の証拠が隠されてしまうのを避けるためだ。
あの白石がAランクのカードを所持しているんだ。
大掛かりな不正が行われているかも知れない。
だから、当然、約束なんてしていない。
受付の人は「支店長に聞いて参ります」と言って、奥の部屋に入って行った。
部屋から戻った受付の人が「支店長がお会いになるそうです。中へどうぞ」と言う。
僕は始めて支店長室に入った。
この人が支店長か。
僕が思っていると、用件を尋ねられる。
ふふふ。
これで、白石も終わりだな~。
僕は支店長に白石が不正を働いてAランクカードを取得したと話した。
スライムを11匹しか倒していない白石がAランクなんてあり得ないからな。
さあ、支店長!早く白石の処分を決めるんだ!
僕は、ウキウキしながら支店長が話すのを待った。
「拓哉は、誤解されやすいんだ」支店長は言う。
何を言ってるんだ?僕が思っていると、支店長が続きを話し出す。
「テイマーのJOBを持つ探索者は、自分で魔物は倒さず、契約している獣魔が倒すだろ?それと同じで拓哉の場合は、精霊使いのJOBを持っているから、自分ではなく、契約している精霊が魔物を倒すんだ」
精霊使い?あの白石が?
「正直、拓哉が自分でスライムを11匹倒した事があるなんて、初耳だ」そう言って支店長は笑う。
精霊使いって何だよ!
そんなの嘘に決まってる。
「精霊なんて、人には見えないから、いくらでも不正が出来るんだ!」僕がそう言う。
すると支店長は「そうなんだよ~普通の人には見えないから、精霊使いのJOBを探索者協会がなかなか認めてくれなかったんだよ~」と、遠い目をしながら言った。
どう言う事だ?僕が支店長を見つめていると、支店長が「拓哉が契約している精霊が、リッチを倒すところを何人もの人が見ていて、それでやっと探索者協会が精霊使いのJOBを認めたんだ」
そうか、手品だな?白石は手品を使って精霊が倒した様に見せたんだ。
なんて卑怯なやつなんだ。
僕が手品に違いないと支店長に指摘する。
ふふふ…遂に白石の不正を暴く事に成功したぞ!
白石!悪く思うなよ!不正を働いたお前が悪いんだ!
すると「それは無い。危険な場所だったから、探索者が入らない様、警備員を24時間配置して、入口を閉鎖していた。だから、不正は出来ない」
「それ以外にも、多大な貢献をしたから、拓哉と美鈴のパーティーサンライズはAランクになった」
「だから、拓哉も美鈴も不正はしていない」支店長は、そう言った。
嘘だ…嘘だよね!
精霊使いって何だよ!
何で僕が斧使いで、白石が精霊使いなんだ!
チキショー!
「それから、拓哉の周りには常に契約精霊がいて、拓哉の事を守っているから、余計な事をするなよ!念のため言っておく」支店長が言う。
支店長室から出た僕は、ロビーを抜けて、探索者協会の出入口までくると、外は雨が降っていた。
傘も射さずに歩きだした僕は、風邪をひき熱を出した。
病気が回復した僕は、数日振りに登校し、工藤のいる教室に向かった。
「工藤。悪いが、僕は探索者を辞める事にした」
「何でだ?高杉」工藤が聞いてくる。
中森さんに振られたからだとは言えない。
「親から大学の受験勉強に力を入れろと言われたんだ。すまない工藤」
「僕が買った工藤の装備は、工藤にあげるから、そのまま探索者を続けるも良し、探索者を辞めるなら、装備を売却するも良し、工藤の好きにしてくれ」僕が言うと、工藤は暫く考え込んでいた。
そして「俺は、もう少し続けてみようと思う」そう言った。
その後、工藤は他のパーティーに入れてもらい、そのパーティーの女性とカップルになったと聞いた。
そして、僕の初恋は終わった。
高杉君の話はこれで終了になります。
次回は、拓哉と美鈴がダンジョン探索をする話です。




