高杉君は、驚愕の事実を知る。
今日から2学期の授業が始まる。
夏休みの時より早く起きて、着替えた僕は、裏山ダンジョンのスライム狩りを行う。
そして、庭の家庭菜園の水やり。
最後に部屋の窓を開けて、風魔法で埃を外に吹き飛ばしてもらい、掃除終了。
玄関の鍵を閉めてから、自転車で中森家に向かう。
中森さんのお母さんが作ってくれた、朝食を食べてから、美鈴さんと歩いて駅に向かった。
学校に到着し、教室の自分の席に座る。
隣に座る美鈴さんとお喋りしていると、違うクラスの男子が教室に入ってきた。
その人は、高杉君のところに行き「高杉!今週末は予定があるから、来週またダンジョンで、ゴブリン狩りをしような!」と言った。
すると高杉君が「僕達が探索者になった事を学校で話すな!」と大声で叫ぶ。
それを聞いたクラスの男子数名が「なに?高杉と工藤は探索者になったのか?」と言いながら、高杉君のまわりに集まる。
高杉君は、チラチラとこっちを見ながら「大声で言うな!」と言う。
工藤君?と呼ばれた男子が「高杉。自分で言ってたぞ!」と言う。
暫く沈黙の後、高杉君が「実は僕と工藤は、探索者になって、ダンジョンでゴブリン狩りをしているんだ!夏休みに入ってから登録したのに、もう、Eランクにランクアップしたんだ!」と、椅子から立ち上がり、少しづつこっちに近寄りながら言った。
クラスの男子達が「凄いな!危険じゃないのか?」
すると高杉君が「僕達は優秀だから、もうゴブリンなんて相手にならない。一撃さ!」
「あっ、そうだ!中森さん。もし良かったら僕達のパーティーに入らないか?来年お兄さんが高校を卒業したら、中森さんが一人になっちゃうだろう。一人じゃ危険だよ!僕が中森さんを守ってあげるから、安心して僕のパーティーに入って欲しい」
すると美鈴さんは「お断りします!」と言う。
なおも高杉君が「何でだ!僕は君のために言ってるんだ!君は僕のパーティーに入るべきだ!」と叫んだ。
美鈴さんが「私は、白石君とパーティーを組んでいるから不要です!ほっといて下さい」と言う。
なおも高杉君が引き下がらない。
「君は、こんな荷物持ちなんかと一緒に居るべきでは無い!僕は君のために言っているのが、何故分からないんだ!」と大声で言う。
すると、美鈴さんがキレる。
「私の彼氏の悪口を言わないで!」
…「いま、彼氏と言ったか?」…
美鈴さんは「そうだけど…なに?」
「君は、こんな荷物持ちなんかと付き合うべきじゃない!目を醒ますんだ!」
「私が誰とお付き合いしようと、高杉君には関係無いでしよう!ほっといて!」と言って、そっぽを向く。
すると、高杉君は「白石!お前は自分の力で、どんな魔物を倒したんだ?」と僕に聞いてくる。
う~ん。
爺ちゃんの家に引っ越してきて、そして裏山ダンジョンが出来て、その時ドライアイスでスライムを倒した。
でも、その後、精霊と契約してからは、すべて精霊が倒してくれるから、自分で倒したのは、最初のスライム11匹だけだ。
だから僕は「スライムを11匹だよ」と答える。
すると高杉君は、そっぽを向いている美鈴さんに向かって「聞いたか?中森さん。白石はスライムを11匹しか倒せないほどレベルが低いんだ。悪い事は言わない、僕のパーティーに入るべきだ」
そっぽを向いていた美鈴さんが、高杉君に顔を向けて「高杉君は、なんか勘違いしてるみたいだけど、白石君はAランク探索者だよ」と言う。
それを聞いた高杉君は、信じられないと言う顔をして「白石。探索者カードを見せてくれないか?」と言った。
僕はカード入れから、探索者カードを抜き取り、Aランクと記載されている探索者カードを高杉君に見せると、高杉君は何も言わずに、自分の席に戻って行った。




