拓哉の母と妹がやって来る①
先日、母から電話が掛かってきた。
僕の事が心配みたいで、ちゃんと食べてるか?とか、いろいろ聞いてくる。
ちょうど良い機会なので、中森さんとお付き合いをしている事。
中森さんのお母さんのご厚意で、ご飯をご馳走になっている事を話す。
すると「そんな重要な事、何で早く言わないの!」と怒られた。
そして、なるべく早くこちらに来て、中森家にご挨拶と、僕がお世話になっているお礼に来るそうだ。
その後、母から僕の妹を連れて2泊3日で来ると電話があった。
僕がその事を中森家で話すと、お母さんと美鈴さんが慌て始める。
早速、二人が美容院に予約の電話を入れていた。
そして美鈴さんからは「新しい服を買いに行くから、一緒に来てね!」と言われた。
僕は、たかだか僕の母と妹が来るだけだから、わざわざ新しい服を買う必要は無いのでは?と思ったが、たまにはダンジョン以外の場所を2人で出掛けるのも良いかと思い、一緒行く事にした。
バスに乗って、ショッピングモールに向かう。
建物の中は冷房が効いていて涼しい。
美鈴さんの後を付いて歩く。
洋服店に入って服を見るが、なかなか気にいった服が見付からないみたいだ。
次々に別の店に入って行く。
…1時間経っても…2時間経っても、まったく決まる気配が無い。
見かねた僕は「候補を絞り込んだ方が良いんじゃない?」と言うと、美鈴さんは「分かった!」と言った。
これで、やっと洋服選びが終わるな~と思っていた…
それから、約1時間。
やっと候補が絞り込まれ、美鈴さんが「どっちが良い?」と僕に聞いてくる。
どちらも似合っていたから、僕は「どちらも可愛いよ!」と答える。
すると美鈴さんが「どっちが良いか聞いてるの!!」と言う。
…僕は、どちらも似合っていたから、正直に言っただけなのに…怒られた。
結局、美鈴さんは、両方とも洋服を購入した。
どちらの洋服を着るか?お母さんと相談するらしい。
僕は怒られ損ではないだろうか?
その後、フードコートで昼食を食べて、僕達は中森家に帰宅した。
中森さんのお母さんから、うちの母と妹に何を出せば良いか?聞かれる。
昼食を中森家で食べてもらうそうだ。
中森さんのお母さんは料理上手だ。
何を食べても美味しい。
だから僕は「何でも良いんじゃないですか」と答える。
すると「それが、1番こまるのよ!」と、中森さんのお母さんから怒られた。
おかしい…正直に答えただけなのに、何故か?怒られる。
結局、近所の料理屋さんから、寿司・天ぷら・サラダ・茶碗蒸し・お吸い物のセットを出前してもらう事にしたそうだ。
…僕は、怒られ損ではないだろうか?
うちの母と妹が来る日は、健太さんが探索者の仕事を休んで、駅まで迎えに行ってくれる事になった。




