拓哉は土精霊と契約する。
僕は部屋の中を漂う土の妖精に「僕と契約してくれないか?」と声を掛ける。
すると、2体の茶色い妖精が、ゆっくり僕に近付いてきた。
どちらにしようか?
僕は暫く考える。
すると1体の妖精が、ゆっくりと僕から離れて行く。
そこで、僕の近くに残っていた妖精に「君の名前はアンバーだよ!」と声を掛けた。
すると、機械的な女性の声が頭の中に響く。
《土の妖精との契約が成立しました》
《土の妖精アンバーが、土の下位精霊に進化しました》
やった!契約に成功したぞ!
アンバーが、僕の目の前からゆっくりと降りてくる。
僕は手の平で受け止める。
「アンバー。これからよろしくね!」僕はアンバーに声を掛けた。
そして美鈴さんに「土の精霊との契約に成功したよ!名前はアンバー」だと伝えた。
美鈴さんには精霊が見えない。
でも、僕の手の平に精霊がいると予想したのか?
僕の手の平に向かって「アンバー、よろしくね!」と言った。
そして「アンバー…琥珀ちゃんだ!」と言って笑った。
うん。
今日も、美鈴さんは可愛い。
僕は宝箱から出てきた弓と、魔石を巾着袋に仕舞い、美鈴さんと一緒に、土の上位精霊にお礼を言って、滝の裏側にもどった。
ルピナスの水魔法で滝が2つに割れる。
僕達は、水と水の隙間を通り、滝壺の前に立つ。
すると、さっき契約を交わしたばかりのアンバーが、土魔法で滝壺を渡る石橋を掛けてくれる。
ただ、上位精霊ほどの魔力が無いから、石橋の横幅は30cm位の細い橋だ。
だから、僕と美鈴さんは、縦1列になって進み、滝壺を無事に渡り切る。
僕達が渡り切ったのを確認したアンバーが、魔法を解除すると、石橋が無くなって、元どおりの滝壺に戻った。
僕達は、アンバーにお礼を言う「アンバーありがとう!」すると、アンバーからは、僕達の役に立って、嬉しい気持ちが伝わってきた。
僕はダンジョンマップを見る。
この川を下って行くと、ダンジョン地下5階のフロアボスが居る部屋の近くまで行けるみたいだ。
ここまで来たら、フロアボスの部屋を通過して、移転石で地下1階まで戻る方が早い。
そこで僕は、美鈴さんに声を掛けて、先頭を歩き始める。
暫く歩くと、フロアボスが居る部屋の前に到着!
しかし、扉が閉まったままだ。
どうやら、誰かがボス戦に挑んでいるみたいだ。
そこで僕達は、休憩する事にした。
僕は巾着袋からレジャーシートを出して、地面に広げて座る。
美鈴さんも僕の隣に座り、自分の巾着袋から水筒と、美鈴さんの手作りクッキーを出してくれる。
僕達は、お喋りをしながら、フロアボス部屋の扉が開くのを待った。




