拓哉と美鈴は、ダンジョン地下5階の探索をする②
僕達は、石橋を進み、2つに割れた滝の間を抜けて、洞窟の中に入った。
洞窟の奥が暗くて、先が良く見えない。
そこで、光精霊のフリージアに光の玉を出してもらう。
僕達は、上位精霊の後を付いて行くと、広い場所に辿り着いた。
部屋の中に、茶色の光の玉がいくつも浮いていた。
土の妖精だ。
きっと、土の上位精霊が、妖精達を保護しているんだ。
今まで会った、水の上位精霊も、風の上位精霊もそうだった。
それと、この広い部屋の壁際に、魔石がいくつも積み上がっている。
もともと、この場所にいた魔物を土の精霊達が倒して、この場所を占領したんしゃないかな?
僕は、土の上位精霊に話を聞く。
すると、やはりこの場所には、魔物がいたそうだ。
その魔物が穴を掘って、土の中に通路や部屋を作っていたそうだ。
通路はすべて、斜め上に伸びていて、1番上の山の頂上付近には、巣の中に入る穴が3ヵ所あり、それぞれの穴を魔物の兵隊が守っていた。
妖精達を保護する場所が欲しくて、土の精霊達が、この巣を作った魔物を殲滅したそうだ。
それから、滝の裏側にある、僕達が入ってきた穴は、上位精霊が開けた。
山の頂上付近の3カの出入口を塞がれた時に、妖精達を逃がす為の非常口らしい。
そして、ここが1番下の部屋。
部屋の奥には1段高くなった場所があり、その場所には豪華な椅子が1つあった。
きっと、あの椅子に魔物の王か、女王が座っていたんだ。
そして玉座の前には宝箱がある。
これは、間違い無く支店長への報告案件だ。
僕は、土の上位精霊に魔石をもらえないか?聞いてみると、邪魔だから全部持って行って良いと許可してくれた。
支店長に報告する時に、証拠として提出しよう!
それから、宝箱に付いて聞いてみる。
すると、邪魔だから退けたいと、何度か土魔法で壁際に移動させようとしたが、無理だったそうだ。
僕は、宝箱の中身を取り出すと、宝箱は消えて無くなると話すと、是非開けて欲しい。
宝には興味がないから、僕達にくれると言う。
そこで僕が宝箱を開けると、中から弓が出てきた。
弓の本体だけで、弦が張って無く、矢も無かった。
僕が弓を宝箱から取り出すと、宝箱は光の粒子になって消えた。
邪魔な宝箱が無くなって、土の上位精霊は喜び、使っていない部屋がいくつもあるから、自由に使って良いと言われた。
しかし、このフロアが1番下の階で、この上のフロアに行こうにも、ツルツルの壁が斜め上に伸びていて、人が1~2人が通れるくらいの幅しか無くて、とても登れそうにない。
どうしたものか?
僕が考えていると、闇精霊のビオラから、頭の中にイメージが伝わってくる。
どうやら、影魔法で、別の部屋に移動出来るみたいだ。
僕は美鈴さんに説明して、美鈴さんと手を繋ぐ。
すると僕達の体がゆっくりと、自分の影の中に沈み始める。
僕達の体が完全に影の入ると、真っ暗で、何も見えない。
美鈴さんが繋いだ手に力を込める。
真っ暗で不安なのかな?
僕がそう思っていると、今度はゆっくりと体が上に上がって行く。
体が完全に地面の上に出る。
真っ暗で何も見えないから、フリージアに光魔法で明るくしてもらおう。
僕がフリージアを呼ぶと、部屋に繋がる穴から飛んできた。
フリージアの光魔法で部屋を照してもらう…石をくり貫いて作った部屋だった。
床も壁も、ツルツルで、まるで大理石みたいだった。
地下にある部屋だから、暑くも無く、寒くもないけど、窓が無くて、ストレスが溜まりそうだ。
僕達は、いざと言う時の逃げ場所&荷物置場として、1部屋だけ借りる事にした。
再びビオラの影魔法で、玉座のある部屋に移動して、1部屋だけ借りると告げる。
それから、僕はダメ元で、土の妖精と契約を結びたいと上位精霊にお願いしてみる。
すると、土の上位精霊からは、好きにして良いと言われた。
契約を受け入れか?受け入れないか?決めるのは、妖精達だからと。
そこで、僕は土妖精との契約を試す事にする。
例えダメでも、現状とかわらない。
マイナスになる事も無いから、気楽にチャレンジしてみよう!




