拓哉と美鈴は、ダンジョン地下5階の探索をする①
僕達は、ダンジョン地下5階にやって来た。
地下4階を通過するとき、足元に木の蔓で編んだ罠が、いくつかあった。
左右ばかりに気を取られていて、足元を見ていないと躓きそうだ。
罠の近くの木の裏に、ゴブリンが隠れていると精霊が教えてくれる。
でも、スノーが近づくと、ゴブリン達は逃げて行く。
だから、一度も戦闘をする事なく、地下4階を通過出来た。
地下5階に到着した僕は、精霊達に偵察を頼む。
スノーと白玉が居れば、僕達に危険はない。
それに、まだ一度も使った事がないけど、風の短剣もあるし。
暫くすると、偵察に行っていた精霊達が帰ってくる。
水精霊のルピナスが、何か見つけたらしい。
そこで、僕達はルピナスの後をついて行く事にした。
地下5階のフロアボス部屋に向かう道から逸れて、草原を抜けて森の中を進む。
暫く進んで行くと、水の音が聞こえてくる。
川があるのかな?
僕はダンジョンマップを確認する。
やはり、川があるみたいだ。
僕達は、歩きやすそうな道を通って進み、やっと森を抜け、川にたどり着いた。
綺麗な水が流れ、水面に光が反射している。
僕達は、ルピナスの後に付いて、川の上流に向かって歩いて行く。
川原は石が多くて歩き難い。
そういう場所は、僕は美鈴さんに、手をかしながら進む。
暫く進むと、大きな滝が現れる。
かなりの水量で、近づくと水しぶきが飛んでくる。
上を見上げると、虹が出ていた。
美鈴さんが「綺麗!」と言いながら、虹に見惚れている。
僕達を案内してくれたルピナスは、この綺麗な景色を見せる為に僕達を案内したのかな?
僕はルピナスにお礼を言う。
ルピナスから、嬉しい気持ちが伝わってくる。
すると、ルピナスが大きな滝を指差す。
滝に何かあるのか?
僕が滝を見ていると、ルピナスは滝に向かって飛んで行き、そして、滝の中に入って行った。
僕は、そのまま様子を見る事にする。
美鈴さんは、まだ、滝にかかった虹を見ていた。
僕が、暫く様子を見ていると、突然、滝の水が2つに割れ、奥には通路が見えた。
水精霊のルピナスがやったのかな?
ルピナスは、水を扱うのが得意だからな。
通路には、ルピナスと、もう1体の精霊の姿が見える。
2体の精霊が空に浮いていた。
ルピナスと一緒にいる精霊。
あの大きさは、間違いなく上位精霊だ。
髪や瞳、羽の色が茶色だから、土の精霊かな?
でも、滝壺は流れが早く、水量も多い。
ここを歩いて行くのは無理だ。
それに、滝の裏に回り込む道もない。
どうしたものか?僕が考えていると、僕の足元から、2つに割れた滝に向かって、地面が盛り上がり始める。
暫く様子を見ていると、それは、だんだんと形を変えて、石橋になった。
やはり、土の上位精霊みたいだ。
うちの精霊達では、土を固めて石みたいにする事は出来ない。
どうやら、上位精霊は歓迎してくれているみたいだった。
僕は美鈴さんに声を掛けて、2人で石橋を進んで行った。




