天使と月と蒼騎士と…
サークル国に呼ばれたフェナーサ・リングだったがどこか違和感を覚えていた。
相手から攻められて領土を失っているはずなのに、どこか変です……。
そう考えながら城の廊下を歩いているとある部屋から声が聞こえた。
「あの聖女様本当に聖女だったな!まさか、騙されているとも知らないで、兵器をたくさん製造してくれた。」
「だが、どれも命を奪わないものばかりじゃないか!これでは敵国の兵士を間引けないぞ?」
「なんとかもっと殺せる兵器を作らさせなければ……」
それを聞いてフェナーサは騙されていたと悟った。
「でも、この戦争を終わらせるには……どうすれば…」
そう呟いた時、フェナーサの目の前にノイズが広がる。フェナーサは構えた。
「これはっ!魔法?!」
「魔法を知っているとは驚きだ。」
そこには影ひとつ。
「貴方は?!」
「私はキアナ、ラナロス・キアナ。この戦争を終わらせに来ました。」
そうして月は陰る。
☆☆☆☆☆
「レェーネ様!」
「ウィルマ様、どうかされましたか?」
「素晴らしい戦いぶりでした。まさか、奪われた拠点を力技で取り返すなんて……」
「少々無理をしました。」
「ええ、本当に……、お怪我は?」
「ありませんよ。お気になさらず…」
そう話している2人の前にノイズが生じた。
「「?!」」
「どうやら招かれざる客のお出ましのようだ。」
そういいながらレェーネはウィルマを自らの後ろへとかばう。
「おや、魔法には面識があるようですね。蒼き騎士殿。」
「貴様、何者だ?何をしに来た?!」
「私はディストの軍師、名を、ラナロス・キアナと申します。」
「ほう、それで、その軍師様が何の用だ?」
「私はこの戦争を止めたい!力を貸していただきたい!」
「「?!」」
「ストーレーをせめているのはそちらでは無いですか?!何が戦争を止めたいよ!嘘つき!」
「……」
ウィルマは感情的にそういうがレェーネは押し黙った。
「嘘はついていない!私とて好きでこの戦争に関わっているのではないのです!ご理解願いたい!」
「……嘘はないようだな。」
そう言ってレェーネは笑った。
「よかろう!その申し出、受けて立とうではないか!!」
「?!」
ウィルマは驚いた。
「これ以上の通信はこちら側に不利になる。これから提示する場所にきてもらいたい。あと、もう1人協力者を呼んでいる。よろしく頼む。」
そういうとキアナは場所を送って
通信を切った。
「レェーネ様、どうしてですか?!」
「あちらは彼女の独断で行動しているらしい。信用してみる価値はあります。レディ。」
「……罠かもしれません!」
「ええ、ですからこの場所へは俺1人でいきます。」
「?!そ、そんなことを?!」
「貴方はここにいればいい。」
そう言ってレェーネは約束の場所へと馬でかけていった。
「レェーネ様……。」