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焔に沈む町


「レディー、お怪我はありませんか?」


それはさっきまで敵を斬り殺していた人間と同一人物であるとは思えないほど優しく、穏やかで、それでいて、甘い言葉だった。

え、あの、私、生きてる?


「あ、えと、……はい。」


「それは良かった。では、」


蒼い騎士は剣を鞘に収める。

「行きましょうか。」


「え、ど、どこへ?」


そうだ、どこに行くと言うのだろう。もう、私には帰る場所なんてない。どうすれば……。

「ここは危険ですから。安全な場所へ。」


「あん、ぜん……。」


そんな場所なんてあっただろうか?いや、考えろ!そうしなければ私は死ぬ!


「……もしや、野営でしょうか?」

「い、いえ、その、私、国が滅びかけておりまして、その、」


そうだ。この国はもう滅びる。どうすれば良いのだろうか?暫く考えてみた。ああ、そうだ。1箇所あるかもしれない!


「西の町へと行けますか?」


「西ですか。」


「はい!」


2人は西へと足を進める。しかし、西の町へはかなりの道のりらしい。そして、隠れながらなので中々進まない。


「レディー。」


「はい!」


「貴方は魔術師か何かですか?」


「はい!私は魔術師です!」


「なら、話しは早い。」


「と、いいますと?」


「馬をお願いできますか?」


「馬?私が馬になるんですか?」


「……」


王子はニコリと笑い、いえ、違いますといい笑顔で言った。


「馬を召喚、もしくは制作していただきたい。」


「あ!そういうことですか!分かりました!」

ウィルマは直ぐに魔法陣を描き馬を呼んだ。白い馬は立派な鉤爪で大地を踏みしめる。白馬に騎士は跨った。白馬に乗る彼はまるでおとぎ話の王子様のようだ。そして、私の手を取り、私を馬上へと乗せる。


「はっ!」


手綱を捌くその姿は雄々しく彼に触れている所が熱い。彼の精悍な顔を見ていると、まるで吸い込まれそうだ。


「?どうかされましたか?」


「い、いえ……。」


かっこいい!そう思ってしまう。ドキマギとする心臓を必死に推し留めながら、落ちない程度に、彼に身を預ける。まさか、生きていてこんな事があるなんて思わなかった。そう思っていると追ってに遭遇する。追ってが剣を持って走ってくると王子も剣を持ち、相手をしながら馬を進める。その華麗な姿は王子様そのものであった。しばらく馬に揺られながら走っていると西の町が見えてくる。


「あっ!見えっ……っ?!」


既に建物は焼き払われ、瓦礫の山となり、人のいるような場所では無かった。


「そ、んな……」


ウィルマは馬から降りて人が居ないか見ながら走る。


「レディー!」


王子も馬から降りて町を見る。


「皆ー!どこー!?」


ウィルマが叫んで探しているとある物を見つける。


「あっ……」


そこで彼女は息をのんだ。


「きゃーー!!」


「っ!」


王子はその悲鳴の方へと走る。


「レディー!どうされました!」


「あっ、ああっ……」


そこには死体の山が積んであった。


「どうして?!ここは安全だと思ったのに?!皆、逃げて来たのに?!」


そして後ろからの気配を感じてレェーネは振り返る。周りを囲まれていた。軍師のような男が前に出る。


「さて、降伏していただこうか?ウィルマ姫!」


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