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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第三章 すれ違い

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ゲームから垣間見える真実

Side Raphael


危うい。そう感じた。ゲームでは、何も語らなかった。しかしアインルートでは、ヒロインとよく筆談していた。


そこから、アインは実は心優しく繊細だという人物だという設定だった。

貴族しかいない学園の中で、平民として頑張っているヒロインを気遣う。まっすぐで、素直。幼少期のトラウマの所為で、声がでなかったりしているのだが、そのトラウマを癒してあげたい、という女子に人気があった。


容姿は、全く手入れされていない髪、デフォルトデザインの制服、陰気な雰囲気からして、まさか攻略対象だと思われていなかったのだ。

一部のファンからは、ここまで執拗に容姿を隠しているのが怪しい!と言う理由で、隠し攻略対象なのでは……?と言われていたが。見事正解です、そんなのわかる訳ないだろ。



磨けばとんでもない美形が現れた。メインヒーローであるマティアスにさえも、ルートに入っていない(好きではない)ときは少し赤面するだけだったのが、アインにはがっつり赤面した。それくらいの美形だったし、(マティアス)にさえも、認識されていなかった。



どのエンドでも、アインは死ぬ。その事実は、『白桃の君に愛を捧ぐ』の次期作、『気高き華は君のもの』で明らかになっている。

だから、わざわざ今アインを殺さなくとも、アインが死んでほしいだけなら待つだけでいい。

何故なら、”必ず彼は死ぬ”からだ。



その事実を知っていれば、そもそもアインを殺さない方がいい。なぜなら、ラスボス戦にアインがいるといないとじゃあ、難易度が大きく変わる。だから、アインをラスボス戦に連れていきたい。



この世界はゲームじゃない。現実そのものだ。死んでも、ゲームオーバーにはならない。死ぬだけだ。ゲームのようにやり直しができない。


だからこそ、『白桃』のラスボスは確実に倒さなければいけない。ギルドの奴らがアインを殺したい理由は結局のところ、ラスボスを倒した後に出てくる真のラスボス――闇堕ちアインを相手取りたくないから。

だからこそ、危険度が少ない今殺そうとしている。


しかし俺は知っている。恐らくアインより闇堕ちアインの方が、圧倒的に弱い。ラスボス相手に、初見で勝つことはできない。真のラスボスと言うだけで、真のラスボスの方が強いと思われるだろう。だが実際は違う。



ラスボス戦と真のラスボス戦。違うのは、アインの有無。それだけアインは強いし、そもそものスペックが人間より圧倒的に高い俺でさえも、一瞬で存在ごと消し去られるぐらいの実力差だ。



だからこそ、ペスケ・ビアンケの人間は、”ギルマスと俺しか入学していない”のだ。

”誤って、アインを殺そうとしてしまう前に、アインに会わせないようにしている”のだ。


なにがトリガーで、アインが闇堕ちしてしまうのか、分からないからだ。

だからあまり刺激したくないし、結局死ぬ運命だとしても、青春しているのを邪魔したくない。ゲームの中の彼よりも、ずっと幸せそうだから。

ヒロインに向けた、最期の言葉すら、出てこないような人生を送っているから。



アインのハッピーエンドは、炎上した。あれもあれでアリ、という意見もあったが、”運営は鬼畜””血も涙もない悪魔””なんであんな美少年を殺すんですかー!!(;;#)””ハッピーエンドをバットエンドにすんな!!””B(僕が先に)S(好きだ)S(ったのに)よりクソ”など、それはもうぼろくそだった。


アリなんて発言した人間に、”それでも生きて結婚エンドとかみたいじゃんん?でもそれ公式から否定されちゃったんだよ??”と言われて”確かに!”となってた人も多かった。



ペスケ・ビアンケの人間は、そんなアインルートをやっていないのだろう。だからこそ、アインを殺そうとする。俺は妹がやっていたのを傍らで見ていただけだが、次期作もしっかり履修済みだ。

だからこそ、アインを殺してはいけないことを知っている。アインがいなければ、この先に起こる事件を解決できない。



マティアスは恐らく転生者なのだろう。アインの姿が、ルート分岐以降なのは、たぶんマティアスがアインルートに入っているからだろう。アインは恐らく転生者じゃない。よっぽどの名俳優なら、そう思わせることもできるだろうが、そうでないと思いたい。


なら、マティアスが転生者だという事になるだろう。それに、この世界では、同性愛は前世の世界よりももっと希少だ。それが理由という訳でもないが、なんとなく、ゲームのマティアスと性格が違う気がした。


サティでは、アインは死ぬ。相手が違っても、アインは死ぬかもしれない。だが、前世の記憶があるマティアスなら、何とかアインを生かそうとするかもしれない。



俺は、ペスケ・ビアンケとして、アインガチアンチどもを統率する補佐をする。


九星と言う存在は、ゲームでは存在しなかった。だが、悪がいるという情報があるならば、それに対抗するという組織がいてもおかしくなかった。普通、学園の生徒だけで、そんな相手と戦うこと自体がおかしいのだ。


ゲームだからという事で、納得はできていたが、ここは現実だ。転生者なら、一度はそう思った事実。

九星も、転生者が作ったのかもしれないな。幼少期から、戦闘のエキスパートを作る。まさかその中にアインがいたとは思いもしなかったが……。


だが、九星が作られた目的は恐らく――。

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