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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第三章 すれ違い

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会議は踊る、されど進まず

活動報告のイラストをちょくちょくのせようと思います!

Side Raphael


「え―アインってここに来たことあるんだ」

情報ギルド、ペスケ・ビアンケは『白桃』を知っている転生者が集まるギルドだ。みんな、ゲームの最強ラスボスアインを早めに倒しておくべきだ、という意見で一致している。


今日は、そんなペスケ・ビアンケの定例会だ。月に一度、ギルマスの部屋に集まって情報交換をする。


その一環で、先日ここにアインが来たこと、そのアインがなぜか俺を強くしてくれることとなったことを話した。



「まさかラファエル、絆されてるんじゃないだろうな?」

「まさか。あいつはゲームのラスボスだぞ?いた方が魔王攻略に捗るが、その後が大変だ。それに、ゲームの強制力も計り知れない」

「あーそれな。ゲームではどんなにマティアスがアインを嫌っていても、必ず魔王討伐には連れて行ってたからな」

「今のマティアスはアインに対してかなり好意的に思いますし、注意が必要ですね」

ゲームの知識から色々とあーでもないこーでもないと言い合っているが、重要なことが抜けている。


「……というか、そもそもアインは倒せない。ゲームじゃ、限界まで育成してやっとだったが、あれは化け物だ。どうやっても無理。俺が何人いたって、敵と判断されたら即座に()()()

「はあ?どういうことだよ」

ギルメンのうち一人が苛立ちながらそう言う。


「まず、情報収集能力が半端じゃない。俺達(ペスケ・ビアンケ)が知らないことを、かなり多く知っている。そもそもうちは“情報”ギルドだ。そこで負けているんじゃ話にならない」

「そうだね。彼は僕たちが知っていることが”何か”もすっかりわかっていたようだし。それに、試していたのももろばれだったしね」

「ギルマス……」

「それで?ラファエル、君は見たんだろう?アインの力の一端を」

ギルマスが話を振ってくれた。俺はギルメンの顔を見回して、一息ついてから言った。


「一つはギルマスも知っているけれど、彼岸の魔族特有の力があるらしい。それと、死体を消してた。跡形もなく」

しばらくの間、沈黙が下りた。



「は?し、死体を……消す?それって……一体どんなのよ」

「分からない。指を鳴らした、と思ったらもう消えてた。一体どうなってるんだよ、あれ……」

「“鮮血の死神”……」

ぽつり、と。誰かが呟いた。


「は?なんだよ、その厨二チックな名前は」

「ステラって国の軍に、九星っていう部隊があるんだ。そのうちの一人がそう呼ばれている。年齢的にもピッタリだ」

「だがあいつは年齢詐称は普通にしているらしいぞ。案外ジジイだったりしてな」

「確かにラファエルの年齢が15歳だ、と言っても全く信じて貰えないどころか何言ってんの、って感じでスルーだったね。……という事は、15よりかなり離れていることは明白だね」

「どんぐらい年齢詐称してんだよ……流石にきつい」

「厨二病患ってんじゃない?実年齢30が15に見えます!て」

「ちなみに、”終焉の狂戦士(バーサーカー)”てのもいたし、”全色の魔術姫”とか、”世界最高の鍛冶師”とかもいたな」

「それは人から名づけられているんだよね?そうだよね?」

自分で名乗ってたらイタすぎる。


「本当、ゲームに出てきてない要素ありすぎでしょ。アインが転生者、ってオチはないの?」

「うーん、今のところないかな。別にアイン自体はゲームの中の動きと大して変わらないしね。俺達とか、ある筈の国がなかったりない筈の国があったりとかそういう変化を考慮してだけど」

ギルマスの言葉に返す言葉がないのか、皆黙りこくってしまった。


「俺たちが知らないモブ転生者、っていうならさ、”絶対零度の司令塔”なんかが怪しいと思う」

一人のギルメンが声を上げた。そいつは、”鮮血の死神”と呟いていたやつだ。名前は――リクだ。


「なんでだ?」

「だってさ、九星はみんな奴の指示に従って動いている。それに、未来が見える、っていう噂があるんだよ。その未来が見える、と言うのが本当だとしてさ、それゲーム知識を活用しているんじゃないか?てな」

「でもそれならなんでこっちに来てないんだ?自分もゲームに参加したくならないのか?」

「あーそのことなんだけど、さ。その人結婚してる。……聖女と。ついでにステラの王様になってる」

リクが爆弾を投下した。そもそもゲームに没頭するような非モテの集まりなのだ。


「はぁー?!聖女と結婚んん?!死ね!控えめに言って死ね!!」

「あ"ー今世でもブサコに転生しちゃったのー!一度でもいいから聖女って呼んでよ誰か!!」

「ハーレムとか男の夢だろ!それを周囲からも勧められる国王の座……!非モテがあっという間にモテ男に大変身するエターナルミラクルハイパースーパーラッキーアイテムじゃんかよおおおおおぉぉぉぉ!!!!!」

「姫!姫って呼ばれたいい!!」

「それ別の人」

「そもそも九星とかめっちゃ格好よさそうじゃんん!!俺もそこに混ざりたかった……!」

「二つ名貰えるんだろ?それも格好いい二つ名!」

「国王と結婚とか……玉の輿じゃんか!」



「……なんか……すごいね」

ギルマスが呆れてる。


「あれ、俺やばいこと言っちゃいました?」

「完全にアウトな発言だろ」

リクの発言に思わず俺はツッコミを入れる。


「ほら、目が欲にまみれてる。さっきまで厨二だなんだって言っていたのにね」

「本当、こういうところがあるからいつまでたってもモテないのにな」

「おいリク、それは禁句だ――」

「「「「「「「「そう言うお前はモテてたのかよ!!!!!?????」」」」」」」」

俺が言い終わるよりも先にギャーギャー騒いでいたやつが一斉に詰め寄っていく。


「そもそもそのための恋愛シュミレーションゲームじゃないのかよ?」

今日はリクの命日のようだ。南無。

ちなみにアイン君の年齢は13(仮)歳です。

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